昨年の大晦日に更新して以来、新年明けて初の更新がこんな時期になるとは…1月は行って2月は逃げましたよ。せめて3月が去る前にはと頑張って更新です。読書はそれなりに頑張って、正月以来ここまでで20冊。一応月10冊ペース維持。今年も100冊いけそうな感触ですが、買ってる本が多いから積ん読が減らないんだよなあ…
マルドゥックシリーズで毎度圧倒される冲方さんの世界観構築力を、現代社会を舞台にした物語に持ち込んだらどうなるか。答えがこの作品。日米関係、対中国、その他国際謀略戦、リアルで熱く、またキャラもことごとく立ちきっている。読み応えありました…現実世界が舞台でも、バラエティに富んだ格闘戦描写はやはり忍法帖のようにトリッキー。どこまでも冲方さんの持ち味も健在。「アクティべイター」という仕事の性質上、またこの物語の幕引きの仕方から考えるに、これ絶対シリーズ化できる!熱烈待望続編!です。
このミス大賞受賞作。普段はこの賞追いかけてないのですが、今回は書評で面白そうだったので手に取りました。いやはや本当に楽しくテンポよく、めちゃアクの強い麗子弁護士のキャラに引きずられて一気読み。面白かった!重くない程度のすぐ読める長さでありながら登場人物も多いのに、きちんと皆個性的に描かれていて、舌を巻きました。本当に初めて書いた小説なのか。
これまた2020のこのミスより。収録された4篇とも奇想とロジックが美しく同居する素晴らしい1冊。表題作は本当に短篇には惜しいネタのインパクト。満腹。
昔浅見光彦シリーズにはまりかけた時代があったので、ふと懐かしくなって手に取りました。龍之介シリーズは未読だったりするので申し訳ないのですが(^^;が、両名探偵きっちり良い仕事してて読み応え有り。浅見さんのビジュアル描写ににやにや(笑)柄刀さん、本当に浅見シリーズが好きなんですねえ。
久々に手にとった歌野さんはやはり一筋縄ではいかなかった。バラバラに発表された短編にも関わらず、本にするとキレイに繋がって明らかになる仕掛け。流石です。
今年になっても、まだ小林泰三さん熱が残っているので、本屋で見かけるとちょこちょこ買って読んでしまいます。上記二冊、どちらも手に汗握る。記憶がすぐ消える探偵、という奇抜な設定がスリルを加速する後者は特にページを繰る手が止まらない。けれど、ラストに何か仕掛けられている、あるいは途中で「おや?」と思った描写もあり、自分が気づいていない仕掛けが何かあるのではないかともやもや。検索しても、自分が感じた部分への指摘は見当たらないので、謎は永遠に謎のままなのか…?ただ、この探偵が登場する話は他にもあるので、それを読めばすっきりするのかも?
かわいいイラストに惹かれてジャケ買いですが、2冊とも読み応えあったー。どっちも同じ世界観のお話。謎の流星により知性や超常能力を持った生物たちのお話。そして泣ける。特に「いぬの日」は、犬猫好きには胸が締め付けられるようなお話。今のペット産業の構造があるかぎり、いつかペットたちが知性を得たら私たちは復讐されるのでしょうね。
これまたこのミス作品。とはいえ、このミス発表前にジャケ買いしちゃってましたけど。ミステリとしては、割と早々と真犯人の見当はつくので薄味ですが、この湿地の描写、自然に抱かれたささやかな恋と人生の物語は、深く胸に染み入って消えないのでした。
すみません、こっかから先は書影のみでご容赦を。
前回の更新でどうにか2020年じゅうに読書冊数100冊を達成したはいいけれど、そこからはあまり冊数伸びず。102冊で打ち止めです。まあ、流石に年の瀬は大掃除やなんやかやとあったから、致し方ないですね。
「メルヘン殺し」は三部作だと勝手に思っていたので、新作出たときは狂喜乱舞。ですが、勿体ぶって積ん読してる間に、小林さんの訃報に触れ…あまりに早すぎる、あまりに惜しい才能の逝去。寂しいことこの上ないです。本作は、なかなかに世間のピーターパンのイメージを揺るがしそうな陰惨な内容ですが、注釈を読むと、そもそものピーターパン物語の原点が陰惨なのか…目からウロコ。メルヘンの皮をかぶった騙しのテクニックは相変わらず見事ですが、もう次の作品が読めないとなると、哀しい。ご冥福をお祈りします。
江戸とコルトこそ前作「残月」と共通しているけれど、展開もジャンルも全く違う!今回は痛快シスターフッド伝奇アクション。どこまでもノワールだった「残月」では救われない部分も多くあったけど、今回は素直にラストまで流れに乗って楽しめます。三作目はあるのだろうか。ちなみに、「羽衣」も面白かったけど、「残月」のノワールっぷりも結構好きなので、また読みたいなあと思います。
さて、新年2021年1冊目の読書は何にしようかなあ。既に机の横に候補が積まれているけれど。来年も良い本に出会えますように。と
祝ドラマ化。だけど、草刈正雄は本作のおじさまを演じるにはちと濃ゆすぎるような(^^;ふくまるがぬいぐるみなのもちと残念。ちなみにふくまるの出番がやや少なめな本巻。シリアス音楽ストーリー展開も好きなので、これはこれで続きが楽しみ。
先日から、2020年の読書冊数100冊目指して自身の読書ペースに一喜一憂しておりましたが、どうにかッ!年内に100冊!到達いたしました!いやー、達成感あります(笑)その100冊が全て自分の血肉になったかと問われると、記憶力も薄くなってきて微妙なところはあるのですが(^^;それでも100冊は100冊。来年もこの調子でガンガン読書していきたいものです。
というわけで、本年の100冊目はこちら。
西澤先生、作家生活25周年おめでとうございます。もうお年も還暦が近づこうというのに、この論理のアクロバティックのキレと倒錯エロ描写の熱量はどうですか(笑)。一篇一篇が濃ゆい短編集。実は自分、加齢のためかめくるめく論理展開に頭がついていけなくなっているところがあって、恥じ入る次第…先生より一回り以上若いはずなのに。もっと頭を鍛えねば。
年齢を感じさせないキレ、という意味ではここに日本ミステリ界最高峰の方が(^^;このミス1位を祝っての衝動買い衝動読みでしたが、いやあ濃密。時代背景をうまく生かしたトリックと伏線、作中で繰り広げられる映画うんちくにもきちんと意味がある!登場人物たちの動きも心情も戦後の青春群像を生き生きと描き出していて、いや、辻先生の現役っぷりをまざまざと見せつけられました。美味しかったわあ。
100字で果たしてSFが描けるのか?!とジャケ買い。というか表紙から100字で作品(笑)市場にあふれた珠玉の100字作品群、サクマドロップスの缶を残り何粒かと惜しがりながらしゃぶるかの如き読書感覚。素敵でした。
村木さんは高知出身なので、以前から郷土の有名人として誇らしく感じてはいたのですが、そのお仕事の足跡は私たちが今まさに日常業務の中で向かい合う種々の困窮者支援、ジェンダーに関わる組織の改革とがっつり関わっていることを知り、より一層尊敬の念を厚くしました。公務員なんて、もしかしたら大きな社会のうねりの中では歯車でしかないのかもしれないけど、それでも確かに目の前の問題に立ち向かう力は与えられているのだと、そう背中を押される感覚を頂ける一冊でした。感謝。
完全にジャケ買いですが、猫好きにはいろんな角度から楽しめる、しかも古今東西で有名なあの話の原型がしっかり拝めるし、猫文学の歴史をぎゅっと圧縮したかと思えるような稀有な一冊であります。お気に入りは、高貴な猫との不思議なご縁が素敵な岸田今日子さん「暖炉の前で聞いた話」と、やはり本格ミステリ読みとしては上手い!と膝を叩くラヴゼイ「イースター・ボンネット事件」。
不惑に達しても相変わらず不運で体を酷使してる葉村さん(笑)NHK「ハムラアキラ」を見て以来、どうしても脳内で映像がシシド・カフカさんで再生されてしまうのですけど、台詞回しも立ち振る舞いもやはりぴったりだと思います。セカンドシーズン切望。頭で映像再生しながら読めたことも含めて、楽しい1冊でした。不安だけど楽しい葉村さんの冒険。
表紙絵の福家さんも素敵な文庫版。事件の展開も面白いけど、福家さんの密かな究極超人ぶりがツボにはまります(笑)
月村さんは大好きな作家さんですが、多作なので流石に全冊は読めてなく、ちょこちょこ以前の作品を掘り出して賞味しているのですが、なんですかこのかっこいい時代劇は。時代劇なのにハードボイルドでノワール。いや、これは大藪春彦賞に相応しいわ。「羽衣」も読まなくては。
これも月村さん。手にとった理由は上記に同じ。ですが、これまたノンストップで突拍子もない設定なのに忘れて読みいる筆力説得力。ほとんど腕力に近い引力を感じながら一気読み。ちなみに、ハードボイルド読みなら絶対にやにやしてしまう美晴の元カレの設定も素晴らしい。いや、なんか作家さんを超えたコラボとか夢想してしまいますよ。一応別人だからがっつり絡むのは無理だろうけど。そのへんも含めて贅沢な一作。
労働基準監督署のお仕事は、監督する側から描かれた話はいくつか見たことはあるけど、逆の視点から読むのは新鮮。企業って大変。それをさくっと読みやすいミステリにしてしまう石持さんはやっぱりすごい。
こっからは書影のみでごめんなさい。
今年も残すところ10日を切ったわけですが、大掃除の合間を見つけて変わらず読書に励みますよ。あと1回、年内に更新できるといいなあ…