もう年末

 気が付くと、もうこんな時期。昨年よりは随分マシですが、それでも不満が残る今年の読書冊数は25冊。年内にもう1、2冊読めれば嬉しいんですが、こっから年末年始の飲めや歌えやに突入するので(笑)なかなか困難だなあ…(^^;

屍人荘の殺人

屍人荘の殺人

 しばらく鮎川賞のチェックを怠っていたのですが、あまりに話題になっているので手に取ってみて驚愕。これはミステリ史に残る作品だわーと思っていたら、このミス第一位に。納得です。それにしても、ここまで事前情報完全シャットアウトで読むべき作品も珍しい。自分、この本がネタバレ厳禁なことは随所で耳にしていたのですが、選評を先に読もうとして眼にした「参考文献」が命取りに(^^;これで作品の舞台に仕掛けられた驚愕の設定に気づいてしまい、衝撃が半減してしまいました…それでも十分面白かったですけどね。未読の方は、この作品に関しては事前にパラパラめくることすら危険ですよ!と申し上げておきます(笑)

戦の国

戦の国

今年はウブカタさん結構読んでるなあ。ウブカタ流時代小説の新境地。どれもこれまで使い古された戦国時代の武将達の物語にウブカタさんらしい新たな視点で切り込んでくれるが、特に本能寺の変に向かう光秀の謀反の動機について、ドラマチックで哀切な新説を提供してくれる「純白き鬼札」が一番印象に残りました。

 表紙に描かれたイケメンの連れてる犬がやけにカッコイイと思ったら、犬が主人公とは(笑)。恥ずかしながらゼラズニイは初体験ですが、邪神召喚を巡る闇の者どもの暗闘を使い魔の視点から語るお話。面白かった〜 ゼラズニイ、ちゃんと読もうかな。

アンチクリストの誕生 (ちくま文庫)

アンチクリストの誕生 (ちくま文庫)

 レオ・ペルッツは「最後の審判の巨匠」以来壮絶に久しぶりに読んだのですが、いやあ、独特の奇妙な味わい、堪能しました。「月は笑う」と降霊術のいわゆる「霊を呼ぶ」という行為を逆説的に捉えた「ボタンを押すだけで」が大変蠱惑的。

タケダアワーの時代 (映画秘宝セレクション)

タケダアワーの時代 (映画秘宝セレクション)

 タケダという太っ腹で寛大なスポンサーがなければ、ウルトラシリーズは生まれなかったんだなあ、と思うと、足を向けて寝られない(笑)。良い作品を制作する、という仕事には、撮影スタッフもさることながら、やはりスポンサーや広告代理店といった縁の下の力持ちの存在も重要なんだなあ、としみじみ。

「生活保護なめんな」ジャンパー事件から考える―絶望から生まれつつある希望

「生活保護なめんな」ジャンパー事件から考える―絶望から生まれつつある希望

 やはりケースワーカーという仕事に後ろ髪引かれてるせいで、こういう本はついつい手に取ってしまう。今回は「なめんなジャンパー」が問題になったけれど、「見えないジャンパー」は全国の福祉事務所に蔓延しているという見解には、元福祉職員として恥じ入るしかない。それにしても、個々のケースに、「自立の助長」というケースワーカーの本来的使命の立場から向かい合うことが、結局は種々のトラブルを未然に防ぎ相手方の生活の安定にもつながっていくということが、改めて実感できました。

経済的徴兵制をぶっ潰せ! 戦争と学生 (岩波ブックレット)

経済的徴兵制をぶっ潰せ! 戦争と学生 (岩波ブックレット)

 経済的徴兵制、という言葉には初めて触れましたが、日本の奨学金制度のあり方がいかに異常かわかりました。自分は家が貧乏で大学進学を断念したクチで、早く就職できたから有り難かったんですが、生まれてくる時代がもう少し後だったらこうはいかなかったかもと思うと、ぞっとします。それだけに、ちゃんと学んで社会に出て行く若者の未来に負債を背負わせ続けるような仕組みは間違ってると思うです。

現在18冊

 前回の更新から約2ヶ月ですが、例年に比べるとまあまあ順調な読書冊数ではないでしょうか。今年もあと2ヶ月を切りましたが…年末までにどれくらい伸ばせるか。

サイコパス (文春新書)

サイコパス (文春新書)

 先日読んだ「言ってはいけない」に続き、人間の生物としての根幹に迫る感じの読書。読み応えありました。自分の周囲をぐるっと、サイコパスな人はいないか見回してしまう感じ。幸か不幸か、該当する人はいなさそうですが…それすら欺かれてる可能性もあるのか(^^;とりあえず自分はそうではなさそう。
帰ってきたヒトラー 上 (河出文庫 ウ 7-1)

帰ってきたヒトラー 上 (河出文庫 ウ 7-1)

帰ってきたヒトラー 下 (河出文庫)

帰ってきたヒトラー 下 (河出文庫)

 ヒトラーがいきなり現代にそのまんま蘇るという、ものすごい設定のお話ですが、もしヒトラーがこの小説に描かれているとおりの人物であるとするなら、彼自身も時代と自身の歪んだ理想の被害者であり、何かが違えばあんな独裁者にはならなかったのではないのかと思えてしまう。作中のユーモア?については、国民性もあるのか今ひとつピンときませんでしたが(なんで生き返ったヒトラーがあんなにウケるのかも(^^;)、「人間」ヒトラーがやはり善悪はともかく一人の魅力的な人物であったことを再認識させられてしまう小説。映画の方も観ようかな。 これはまた凄い切り口(^^;ですが、ヤクザにしろ宗教にしろ爆発的に世界を支配していくにはドロドロの抗争や暴力なくしては実現不可能であり、その過程においては両者に一体どれほどの差があるの?という思考実験…っていうわけでもないのだろうけれども。聖書の登場人物が怒濤の広島弁でまくしてたる世界観にぐるぐる目眩を感じつつ楽しみました。よくこんな語り口思いついたなあ… 新刊が出るや否や、他の積ん読を放置して手に取ってしまう本シリーズ。今回も重厚で濃厚でございました…シリーズ中で初めて語られる沖津さんの日常生活にびっくり。しかし、今回は警察組織全体を揺るがすスケールの大きい捜査劇とそれに関わる多彩な捜査陣の群像劇に力が入っていて、ほぼほぼ龍機兵の出番がなかったりするのが、残念といえば残念…まだまだこのシリーズは続くと思うので、また次回あたりで傭兵3人と龍機兵がドンパチしまくる展開を期待したいです!

 前の更新でも書きましたが、今回珍しく本が読めてるのは出張の移動時間を読書に充てられたせいもあったりします。すると、この先は2ヶ月はちょっと苦戦するかも…眼の力も悲しいかな落ちてきてるし。がんばろう。

現在13冊

 この時点で、昨年2016年の読書冊数は超えてる(笑)数年ぶりに、読書熱が再燃しているのであります。でも、新しく買った本中心に読んでるので積ん読消化にあんまりなってない。

巨神計画 上 〈巨神計画〉シリーズ (創元SF文庫)

巨神計画 上 〈巨神計画〉シリーズ (創元SF文庫)

巨神計画〈下〉 (創元SF文庫)

巨神計画〈下〉 (創元SF文庫)

 スケールの大きさに惹かれて手に取りました。ひたすらインタビュー形式で進んでいく構成が斬新でリアリティありますが、後半、戦闘シーンなんかが出てくると妙にもどかしい。続篇も出るようなんですが、継続して追っかけるかどうかは検討中。 一作目に続いて、読みたい本が更に増えて困るシリーズです。「軍靴のバルツァー」、購入しちゃったではないですか。「恐怖」と「戦争」と夏に読みたいテーマの連続でしたが、特に「戦争」の方は心が震えました。
言ってはいけない 残酷すぎる真実 (新潮新書)

言ってはいけない 残酷すぎる真実 (新潮新書)

ジャケ買いしちゃった新書ですが、なかなか気軽に読むには重い内容でした。結局のトコ差別も犯罪も、生物としての人間にあらかじめ刷り込まれている性質なのねえ、と思うと無力感に襲われるわけですが、それを理解した上で人が人として生きていくにはどうしたら良いか、とか考えていくべきなんでしょうね。勉強になる一冊でした。 別にウルトラジャンプを読書の一冊にカウントしたいわけではなく(^^;この号の付録であった「岸部露伴は動かない」短編集が期待以上に素晴らしかったのです。傑作揃い。一番のお気に入りは、ヒジョーにジョジョ的な題材と展開でありながら、「言葉狩り」という小説でなければ表現が難しいテーマで戦慄的に描ききっていた「くしゃがら」でしょうか。この企画、更に続けていってほしいです。三編じゃ足らない。普通にビリー・ザ・キッドの伝記かと思い手に取ったのですが、数々の短い文章や詩の中に散りばめられた猥雑さや不潔さ、暴力性の中に切なさや詩情が漂う不思議な一編。
いまさら翼といわれても

いまさら翼といわれても

 久しぶりの古典部シリーズ短編集は、やはり粒ぞろい。懐かしい友人に会ったような感触。一番印象に残ったのは、奉太郎の心の奥底に潜むヒロイズムのようなもの、主張しないが故にカッコイイ「鏡には写らない」、えるの最後の台詞が切なく胸を抉る表題作でしょうか。今後の彼らの進む先も気になってしまうので、シリーズを是非更に書き継いでいただきたいと切に願います。

最近読んだ本

 1ヶ月に1冊程度のペースで相変わらずスロー。主にコミックばっかり読んでるせいですが(^^;現在6冊なり。

十二人の死にたい子どもたち

十二人の死にたい子どもたち

 お正月読書はコレ。ウブカタ先生初ミステリはやはり一筋縄ではいかない捻ったネタ。子ども達の死にたい理由も各々個性的で、12人もいるのに皆アクが強いこと。素晴らしかったです。ラストのオチは若干読めてしまうところはあったけど、爽やかで素敵です。生きる活力もらえる。 今年はウブカタさん続き?積んでいたので「12人〜」を読了した勢いで読みました。懐かしい顔ぶれに会えたうれしさもあるけど、ハンターはじめクインテットの面々の主役級の活躍に目が離せない。そして、この展開がどうなってウフコックがあんなことになるのか…早く続きが読みたいです。 ゴブリンしか倒さない戦士、という捻ったネタに惹かれて手に取りましたが、「ダークファンタジー」というにはやや暗黒度が足らないと思う個人的には。なんだかんだ言って、最後はほっこりするいいお話でした。
精霊の守り人 (新潮文庫)

精霊の守り人 (新潮文庫)

 以前から気になりつつ読めていなかったシリーズなのですが、ドラマ2期を見始めたのを契機に読んでみました。派手ではないがしっかり地に足のついた世界観、人物造形。これ、本当にもとは児童書?(笑)読み応えありました。ちなみにノギ屋の弁当は美味しそうです(以前ツイートしたけど、レシピ本見て作ってみたんですよね(笑)旨かった)。 これまでに見たことにない、「魔脈」の設定、魔導士たちの複雑な立ち位置が独特で、読み応えありました。面白かった。ただ、個人的には地名や登場人物のネーミングのセンスがちょっと残念(^^;世界観の構築がやや浅い印象になって、上記「守り人」なんかとつい比べて勿体なくなってしまいました…でもお話は好き。

 せっかくのGWなのでもうちょい読書も捗らせたい気持ちはあるのですが、どうも連休は連休でなんか忙しく、進まないんですよね(^^:今年は、昨年の壊滅的な読書量よりは向上させたいです。

壊滅的

 今年は本当に壊滅的。前回更新からの三ヶ月で、活字の本は2冊しか読めてないのでありました。13冊か。あと二冊くらい年末年始に読めると嬉しいが…難しいかなあ(^^;

ポイズンドーター・ホーリーマザー

ポイズンドーター・ホーリーマザー

 ここ数年のハートウォーミング路線にいまひとつ乗り切れていなかった私としては、おかえり!イヤミスの女王様!という漢字でウェルカム。人の醜悪な面を抉りつつ、しっかり最後の1ページで物語が反転する珠玉の短編集でした。一番気に入ったのは、やはり表題作にもなっている対の2編、「ポイズンドーター」と「ホーリーマザー」ですかね。子には子の、親には親の言い分があって、近すぎるが故に理解し合うことがいかに難しいか…考えさせられます。

アンマーとぼくら

アンマーとぼくら

 奇しくも、上の本に続いて親子の絆の物語。ただし、こちらは素直に美しく感じられる方の。沖縄の美しい風景を巡りながら、一つ一つ思い出されてゆく親子のエピソードは、沖縄の海の青さのように深く深く胸に染みいってくる。有川さん的にはこれがご自身の最高傑作とのことで、それはたしかにそうかなと思うのですが、最近「図書館戦争」や「自衛隊シリーズ」のようなエンタメ路線の作品を書いていただけないので、「空の中」で大ファンになった俺としては少し寂しい…

 ちなみに、今読んでいるのは冲方丁さんの「十二人の死にたい子どもたち」。んーー。これが年越し読書になってしまうと、若ダークネスな年越しになってしまうなあ(^^;

今年も不作なり…?

 そんなこんなで、もう10月も近いというのに、読書は捗りません。
 ようやく11冊。このままだと、20冊を下回るか今年…?

血鬼の国

血鬼の国

 バンパイアハンターD言わずもがな、吸血鬼を愛して止まない菊地さんがなんと柳生十兵衛対吸血鬼!という垂涎もののシチュエイション。堪能しました。願わくば、山風御大に倣って魔界転生風に「吸血鬼化した剣豪どもとの大乱戦!」なんて夢想もしてしまいますが、既にこの一冊でお腹一杯なので良いのです。 以前紹介した「翼を持つ少女」で知ったビブリオバトルについて、もうちょっと深く知りたくて手に取りました。知ったときの第一印象から、このゲームの発明は文系な人々によるものと勝手に想像していたので、実は理系大学の勉強会の一方式から生じたという事実には驚愕。人を知り、本を知るという行為がジャンルを問わず有効な学びの一形態であることをしみじみ感じました。あー、本読みたくなる(笑)
日本懐かし10円ゲーム大全 (タツミムック)

日本懐かし10円ゲーム大全 (タツミムック)

 あー、幼少時は田舎の商店の店先からフェリーの食堂のゲームコーナー(笑)、どこかしこで10円つぎ込んで散財しましたわー懐かしい(笑)。本書で紹介されてたように、未だ現役で活躍している10円ゲームが存在し、愛好家の手によって守られている場所があることに感動。巡礼したい(笑)

最近読んだ本

 そんなこんなで、本当に読書が滞ってます。新年の好調さはどこへ行ったのか。現在8冊。

倒れるときは前のめり

倒れるときは前のめり

「翼を持つ少女」でビブリオバトルというものを初めて知りましたが、この小説読んでると本当にもっともっと本を読みたくなってくる(^^;読書がままならない現在の環境と、年々落ちていく読書スピードがほんとに恨めしい。ハミルトン〜 ちなみに、「夢の船乗り」は私も名曲だと思います。