「少女には向かない職業」桜庭 一樹

少女には向かない職業
桜庭 一樹著
東京創元社 (2005.9)
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小さな漁師町で、生活に疲れて酒とかにおぼれる大人に虐げられるアダルトチルドレン、ってどっかで観たことあるなと思ったら、西原理恵子さんの「ぼくんち」そっくりではありませんか!無論パクリとかそういうことを言いたいのではなくて。「生きるために闘う子ども」という部分で、もしかして桜庭さんは西原センセに大きな影響を受けているんではないかとか思うと、結構嬉しかったり(「弱いから、死んだ」なんて台詞、使う場所や使い方は違えど、ほぼそのまんまだし)。
それはともかく、「砂糖菓子〜」と同ベクトルのアダルトチルドレンものなんだけれども、プヒプヒさんが指摘されているように「砂糖菓子〜」よりずっと一般向けとして書かれたこの作品の方が陰惨さが薄められている。これもまたプヒプヒさんの受け売りめくが、この人は相当「大人を信用していない」と俺は思います。というより、ラノベ購読者層の方に、より強烈に何かを伝えたがっているというか。「砂糖菓子〜」で感じた血を吐くような叫びは、この作品では感じられなかった。すっきりしていて、一気に読めはするんだけれど。ただ、願わくば、ラストはもうちょっと、この出来事が彼女たちのこれからの人生にどう影響するのか、見届けたり思いを巡らしたりできる方が良かったかなと思う。