2006年の読書、現在の累計冊数

とりあえず、本日ご報告する分9冊を加えて、40冊になりましたよ!4ヶ月で40冊ってことは、このペースを保てば、割と120冊とかいける可能性もあるので、なんか達成感がありますね。でもまあ、本当は読書ってのは達成巻を楽しむモノではないはずなんですが…実際、冊数の中には児童書やラノベも入っているわけで、気合いを入れて読めば冊数育って当然、みたいな。
ここから先は、ゆったり楽しむ、味わいの読書をしたいと思います。
てなわけで、感想たまってるので今回も読了報告と一言感想モードで。

メルニボネの皇子
マイクル・ムアコック著 / 井辻 朱美訳
早川書房 (2006.3)
通常2-3日以内に発送します。
なんだかんだ言って、買ってしまった。でもってねっとり再読(笑)。いやー、「真珠の砦」とか、あんな衝撃の最後の一行なのに、すっかり忘れていましたよ。なるほど、あの結末なら続編も十分可能なわけですな。それにしても、エルリック・サーガの暗い輝きというか、退廃的で陰気で靄の中を進むような読書感覚というのを、俺はまだちゃんと理解できていなかったのだな、と再読してみて分かった。まあ、初読は10代の時で、小説の好みも展開が派手なモノに偏りがちなお子様でしたからね…今、年齢を重ねて再読すると、なんかやっぱり違う楽しみがあります。今にして、もっとエルリックのファンになったかも。
ただ、惜しむらくは、混沌の神の代表格「アリオッチ」が、今回の訳では「アリオッホ」に改変されていたこと。訳者後書きを見ると、そっちが正しい発音っぽいのですが…自分は「アリオッチ」という名前に、一見親しみやすそうでありながら、実は奇妙に捻れて馴れ馴れしくされることを拒んでいるかのような不思議な語感を覚えていたので、やはり残念。「アリオッホ」って、なんか未開の民族のかけ声かゴリラの雄叫びに聞こえてしまうのですよ俺は。なので、実は読みながら名前を脳内変換してます。


平井骸惚此中ニ有リ 其2
田代 裕彦〔著〕
富士見書房 (2004.4)
通常2-3日以内に発送します。
2作目は館ものですか。ですが、この講談口調の語り口だと、なんか館もの特有の妖しい雰囲気とか緊迫感は少し薄まってしまいますね。面白いですけど。実は、俺は骸惚先生を名探偵としてはあまり評価しない(日頃の言動に比べて、謎解きが今ひとつ論理性に欠けている気がするので)のですが、現実と小説、双方の世界を俯瞰して超越的に見下ろすシニカルな視点が、かっこいいと思います。

キス
キス
posted with 簡単リンクくん at 2006. 5. 5
西沢 保彦著
徳間書店 (2006.3)
通常24時間以内に発送します。
森奈津子シリーズ最新作ですが、今回はあんまりミステリではない気が。むしろハードSF。いや、エロの面でもハードですが(笑)。


しずるさんと底無し密室たち
上遠野 浩平〔著〕
富士見書房 (2004.12)
通常24時間以内に発送します。
うーん。謎は魅力的なのに、解決があまりに腰砕けな気が。というか、しずるさんという人の自己満足以外に、彼女が推理を繰り広げる意味が見あたらないっぽいので、推理に重みがない気も。


蘆屋家の崩壊
蘆屋家の崩壊
posted with 簡単リンクくん at 2006. 5. 5
津原 泰水著
集英社 (2002.3)
通常1-3週間以内に発送します。
うあ、津原さんってこれが処女短編集だったのか。それなのになんてハイレベルな。とにかく、現実と幻想の狭間を彷徨い翻弄される感じの読書感覚が素敵です。一番のお気に入りはやはり「反曲隧道」。視点を入れ替えてみることによってあぶり出される、新しい恐怖。謎解きから戦慄のラストまで、無駄が全くない作りに名人芸を感じました。津原さんもっと読もう。


クール・キャンデー
若竹 七海著
祥伝社 (2000.11)
通常2-3日以内に発送します。
そのタイトルと出だしとカバーイラストからは想像できない、いやーな真相が素敵。サクサク読める佳作でした。


鏡の中は日曜日
殊能 将之著
講談社 (2001.12)
通常2-3日以内に発送します。
水城さん萌え。先にキマイラ読んでいるので、この本の仕掛けは思いっきりネタバレされてるはずなのに、記憶力の悪さが幸いして(泣)つつがなく楽しんでしまいました。喜んでいいんだか悲しんで良いんだか。とにかく、面白かったです。ラストもなにげに深くて、じーんと胸に染みいるし。


普段リアルな警察小説とかは読まない俺なんですが、池上冬樹氏のあまりの褒めように、つい手に取ってしまいました。正直、やはり好みの小説ではないのですが、面白くするための虚構や派手な展開より、凡庸さと日常の中にある過ちや哀しみを描ききるその手法が、女性警察官達の感情をよりストレートに突きつけてきます。一番印象に残ったヒロインは、キャサリンかな。


基本的に、マウザーもファファードもバカなのね。バカでどうしようもないチンピラでごろつきなのね。高貴なところなんてまるでないのね。でも、旧神の末裔らしくて、お気に入りなのね。まあ、ファンタジーでここまで徹底して主役が小悪党なのも珍しい気がするので、やっぱり面白いです。