70冊目はこの本

というわけで、上記のとおり新しい方式を用いての書影等リンクで、この1ヶ月ほどの本の読了報告を一気にやりますよ。ともかく、年間100冊読書計画は極めて順調。ついに70冊に到達です。


★「青年のための読書クラブ桜庭一樹



めでたい70冊目は、桜庭さんの新刊でした。いやー、面白かった。女学園の耽美的な雰囲気を描写しながらも、主要登場人物が必ずしも美少女でないところとか、ツボでした。そう、美というものは美しくない(失礼)ものと対比することで、よりその価値が高まるのですよね。箱入りの少女たちの生態を「読書クラブ」という辺境の民の目から生々しく描いているのですが、これまた世界観が微妙に現実とかけ離れているのも、巧いなあと思います。「砂糖菓子〜」や「赤朽葉家〜」にもいえることですが、わざとズレた世界から物語を構築することで、更にくっきりとリアルな人間模様が焙り出されている感じ。素敵です。


★「フェッセンデンの宇宙」エドモンド・ハミルトン著 中村 融編訳



キャプテンフューチャー」の生みの親の傑作短編集。「キャプテン〜」のイメージから、破天荒な話が多いのかと思いきや、詩情にあふれた幻想的な話が多かったのが印象的。もちろん、表題作や「帰ってきた男」のように、たっぷり皮肉の効いた話も面白かったですが。一番印象に残ったのは、「翼を持つ男」ですね。切なくも美しい。


★「呪禁官」牧野 修著



オカルトと科学が逆転した世界の物語…を、あの独特の破壊的でパンキッシュな言語センスを持つ牧野先生が描くと言うことで、かなり期待したんですが…うーん。面白かったんですけど、俺的にはもっと蓮見やガリレオとの闘争をいっぱい描いて欲しかったかも。正直、ギアもソーメイも性格可愛いけど、だからこそ、くだらない上級生のイジメなんかでモタモタしてほしくないというか、そんなつまらないこと(いや、ギアの成長物語としては、欠かせない要素だとは思うんだけど)に分量を裂かないで欲しいというか…いまいち消化不良。


★「オイレンシュピーゲル2」冲方 丁著



待ってましたのオイレン第2巻。しかも長編と言うことで、ドキドキワクワクしながら読んだわけですが…なんちゅー難解なプロット(^^:一瞬筋を見失いかけて、何回も(洒落にあらず)ページを遡って読み直しました。
でも、かっこよかったー。一番泣けたのは、ロシアの某主要登場人物ユーリの生き様。「死者が生者の道となる」…一見ありふれたこの台詞も、彼が口にするとなんと重く、なんと悲愴であることか。ユーリに限らず、なんでウブカタ先生はカッコイイオヤジどもを描くことにここまでこだわりますか。願望?こんな風にかっこ良いオヤジになって、美少女から慕われたいという…ねえ、願望?(笑)。ともかく、しっかり堪能しました。シュピーゲルサイドとのリンクもさらっと挿入されて、どうやら今月発売予定のシュピーゲル2は同じ事件を別サイドから描いたものになるようなので、天才ウブカタ先生がどんな名シェフぶりを魅せてくれるか、今からワキワキなのですよ。


★「天正マクベス 修道士シャグスペアの華麗なる冒険」山田 正紀著



期待ワクワクで買ったはずなのに、長いこと積んでました。なんか、メイントリックがごにょごにょごにょ(^^:なのが、少し物足りないかも。物理トリック、叙述トリックなんでもござれの山田先生だけに…
あと、ラスト、あんまりマクベスじゃない気が(^^:。せっかく、信輝とかシャグズペアとか、いい感じのキャラが揃ってるんだから、もっと怒濤の勢いでストーリーを締めて欲しかったです〜、


bk1から存在が抹殺されてます(笑)なのでアマゾンで表示。在庫無いけど(^^:。高千穂遥北欧神話モチーフヒロイックファンタジー。うむ、書かれた時期も時期だけに、オーソドックスですな(^^:壮大な話だけど、男坂エンドなのが残念。上下ともブクオフでせしめた集英社文庫版で読んだのですが、天野嘉孝氏のイラストが超美麗。


★「D−聖魔遍歴」菊地 秀行著



これまたブクオフでせしめた吸血鬼ハンターDの初期?中期?作品ですが、まだ余裕で現役なんですねえ。菊池さんおよびD強し。最近の作品は全く追跡できてないんですが、今はどんなお話になってるんでしょう。この作品自体は、菊池さんが一番忙しくてお疲れな(^^:時期の作品だけに、少しテンション低い気がします。


★「エイリアン黙示録」菊地 秀行

これまた古い作品なのに、まだまだ現役。本当に菊池さんって、すごい作家さんなんだなあ…黙示録・世紀末がネタですが、まだ1999年がかなり未来だった時代のお話なので、予言についての蘊蓄が少しこそばゆいです(^^:


★「わかってほしい!うつ患者のホントの気持ち」安部 結貴著


自分自信、もしかしてうつ病の気があるんじゃないだろうかと思って、ひと読んでみたんですが、本当にうつになった人って本当にしんどいんだなあ、としみじみ。日常会話の冗談で「鬱」という言葉を軽々しく使ってしまう俺ですが、なんか迂闊に口にすべきでない言葉のような気がしてきた…