ドラマ「福家警部補の挨拶〜オッカムの剃刀〜」

で、1月2日に放送された正月ドラマ版の福家警部穂、録画していたモノを鑑賞したわけなんですが。
原作はあまりお遊びやお巫山戯のない、真面目なミステリで、そこから生まれる緊迫感も良かったと思うのですが、変なギャグ風アレンジで、そういったサスペンスな雰囲気が台無し。
なんですか、この古畑にケイゾクやトリックを無理矢理ぶちこんで雑に煮込んだようなドラマは。
 いらんところに力が入っているくせに、ミステリとして肝心な部はボロボロ。
 被害者の足跡を示す結構大事な伏線に、思いっきり矛盾した箇所があるし、ラストシーンの犯人と福家の会話なんて、脚本家は上手にアレンジしたつもりなんでしょうけど、原作と比較すると全く意味も重みも違う。
原作のあのラスト、「オッカムの剃刀」の教訓がそのまま犯人を追いつめた皮肉さ、切っ先の鋭さ――倒叙ドラマの面目躍如とも言えるこうした展開、面白みを、果たして制作者は理解してらっしゃるのかね?
福家警部補訳の永作博美をはじめ、キャストは全体的にはまり役で、熱演してただけに…本編がこういう出来になってしまったのは本当に残念。
ギャグもサイコ風味(これまた、無理のありすぎる演出なんですけどね)恋愛要素もいらんから、過去の福家と柳田の因縁を省略しないできちっと描いてほしかったし、永作福家VS草刈柳田のハードな知的闘争を見たかったです!
もしドラマ第二弾があったとして、この流れで作られるなら見ないな、多分。