最近読んだ本

告白

告白

昨年から随分話題にはなっていましたが、「後味が悪い」という評判に尻込みして読むのを遠慮していました。が、著者の2作目「少女」が発売され、かつ衝撃作らしいとの評判を聞いたので、そちらを読むならば先にこちらをと、思い切ってチャレンジ。
…いや、凄かったです。1章ごとに嫌な方嫌な方にサプライズさせてくれるオチが用意された前半。後半は少し冗長な感じがしてきて油断していたら…あの「そこまでやるか」と呆然とさせられる結末。
途中、それなりにじわっと涙腺にくる場面もあって、思ったほど嫌な話でもないやん、と思っていたら、それら全てが暗黒な嘘偽りの裏返しだったりするえげつなさ。
いやあ、スゴイ。たしかに微塵も救いがないけれど、ここまでどうしょうもない展開だといっそ爽やか。いやあ、久々にページを繰る手が止まらない読書でした。
少女 (ハヤカワ・ミステリワールド)

少女 (ハヤカワ・ミステリワールド)

で、告白が凄かったので、期待をして読み始めた「少女」。「告白」に比べると、若干おとなしめな展開で、暗黒な展開についてもじわじわ寄ってくる感じで、また違った味わいでした。が、結末は…伏線がきっちりしている分、逆に予測しやすかった感じは否めないでしょうか。それにしたって、より深いところに隠された秘密があって、仕掛けとしては凝っているのですが…「告白」のような「そこまでやるか」感はなかったかな。
とはいえ、前作が凄すぎるのでどうしてもインパクトで負ける感じはありますが、「死」に憑かれた少女たちの微かな狂気、嫌な展開への伏線が少しずつ絡み合ってゆく際のじわじわサスペンスな雰囲気は読み応えがあったし、佳作であることは間違いないです。
一応、「告白」よりは救いがあるというか、ハッピーエンドっぽかったりするのですが、誰かの幸福は誰かの不幸につながっているとでも言いたげなオチは、「告白」でも見られた視点で、この作者の持ち味の一つになるのかも。
それはそうと、この作品のテーマってば、やっぱり「因果応報」ってことになるのか?(^^:リンクが見事な2作品。主人公が、かっこいいアメリカ親父に引っ張られていく展開もそくり(笑)。いやー、しかしこのシリーズって、「闘う美少女」系ラノベの皮をかぶった渋いオヤジ賛歌のような気がしてきましたよ。実際、オイレンの2巻「死者が生者の道になる」に続いて、またも男の生き様な名台詞きました。今回は、オイレンのサブタイトルでもある「尾が尻尾を振る」でしょうか。一応宮仕えである我々のような人間には、福音とも言えるメッセージです。
耳をふさいで夜を走る

耳をふさいで夜を走る

石持作品には、その緻密なロジックの割に殺人動機という点では少し変だったり弱かったりするときがあるように思うのですが、今回も、動機は…ごにょごにょ。それを補ってあまりある面白さではありましたけど。
しかし、こんなにもエロい話なのに、石持さんが描くと妙にドライでいやらしくない不思議。
しあわせの書―迷探偵ヨギガンジーの心霊術 (新潮文庫)

しあわせの書―迷探偵ヨギガンジーの心霊術 (新潮文庫)

泡坂さん追悼ということで、とりあえず手に取ってみましたが、やっぱり面白い…本当に惜しい人を亡くしてしまいました。

あとの2冊は、読了報告のみで。ちなみに、今年の読書はこれで9冊。うーん、二ヶ月でこの冊数では、やはり年間100冊は今年も無理か(諦めが早い)。

サイモン・アークの事件簿〈1〉 (創元推理文庫)

サイモン・アークの事件簿〈1〉 (創元推理文庫)