最近読んだ本

 ふと思いついて手に取った「探偵はバーにいる」が存外にはまってしまい、連続で3冊ほど読了してしまいました。いやあ、かっこいい。というか、決して主役はヒーローではないんだけど、その泥臭さやかっこ悪さが逆にかっこいい。主役も登場人物も小物で小悪党で、だけど猥雑なススキノの裏街道をささやかなプライドを守ってかっこ悪くても必死で生きてるところが。人を感動させようとして無理に盛り上げているとことがまるでないのに、それでもじわっと涙腺に来るところは、やっぱり変にかっこつけてない分、主役の心情がツトレートにしみこんでくるからなんだろうなあ。

探偵はバーにいる (ハヤカワ文庫JA)

探偵はバーにいる (ハヤカワ文庫JA)

ちなみに、この小説の主人公は短気で乱暴ですが、心根がとても優しいのです。自分にからんできたケチなチンピラでも、殺されているのを見つけたら自分がかつて振るった暴力を詫びて、悼んだりする。人を憎むけれど、どこかで必ず赦す。
バーにかかってきた電話 (ハヤカワ文庫JA)

バーにかかってきた電話 (ハヤカワ文庫JA)

面白かったけど、映画原作ってことで楽しみに手に取ったけど、CMとかで流れてた台詞やハイライトシーンがほとんど原作には見あたらない気が…映画はやはりかなり変更されているのだろうか。今度DVD借りてちゃんと確認しようっと。
旧友は春に帰る (ハヤカワ文庫JA)

旧友は春に帰る (ハヤカワ文庫JA)

この作品に至るまで何作もあるけれど、1作目の主要キャラクターである「モンロー」が再登場すると聞いて、思わず手に取りました。1作目から20年以上後の話なんですが、この期に及んでも彼は携帯電話持ってないのね(笑)それはそうと、やはりじんわり来る傑作。モンローも、彼らを追っていたいろんな人物も、どいつもこいつも馬鹿でどうしようもない人たち。だけれど、馬鹿なことをしているとわかってても、自分をもてあまして、その結果どうしようもなく追いつめられて…何とも言えない悲哀が漂う。ラストの1行が更に涙を誘う。

 シリーズ中断後、しばらく関心がなくなっていたのですが、再開&完結したと聞いて、遅ればせながら一気に読了。物語の幕引きがヴィクトリカの推理によってなされないのは少し残念な気もしますが、彼女と九城を巡る登場人物全員が、時代の流れに飲み込まれそうになりながらも各の意思を貫いていく様は圧巻。壮大なお話でした。

 ここまでで今年の読書は15冊ですか。仕事で残業三昧な割にはよく読んだ方かもと思いつつ、そうこうしてると今年も早半分に達しようとしているのですね…おそろしや。