相変わらず丁重な読書ペースではありますが、それでも去年の日記を見ると1年間で22冊だったようなので、それよりはマシなようです。とりあえず、25冊読了。ですが、次の読書が貴志祐介さんの「悪の教典」という大長編を選んでしまったので、とりあえず冊数の伸びはここで止まるかな。ちなみに「悪の教典」、まだサワリですがかなり面白くなりそうでわくわくしてます。
有川さんの
自衛隊シリーズ最新作ですが、なかなか
ケレン味たっぷりのキャ
ラクター揃いで楽しかったです。なんてったって、
自衛隊を「商品」なんて言っちゃうんだもんなあ。その肚のくくり具合、かっこよすぎです。でもみんな、自分の仕事にとにかく熱いのね。そんな彼らが311みたいな未曾有の災害に遭ったときの、ごく自然にあたりまえに覚悟を決めて職務に望んでる有様が、淡々とした描写からも嗚咽のようににじみ出てくる巻末書き下ろし「あの日の松島」は、心からの感謝が湧いてくる一編。
これまた、昨年の話題作を今頃読んでいる流行遅れの俺なわけですが。びっくりするようなどんでん返しも、めくるめくジェットコースター的展開もなく、淡々と罪を犯した人々の姿をシンプルに描くだけの、地味(ごめんなさい)なお話のオンパレードなわけですが、どの短編も深く胸に染みいってきます。特に、「幸運」と「
エチオピアの男」は、ラストで気がつくと涙が頬にぬれている感じ。特に感動的な演出がされているでもなく、ただ、事件が終幕を迎えた後の登場人物たちの、ほんの小さな「幸せ」への感謝。多分この作者さんは、どんな罪を犯した人でも、必ずやり直せるって信じてらっしゃるんじゃないかしら。もしくは、職業柄そう信じないとやっていけないのかもしれないですが。ともかく、遅ればせながら世間の高評価に納得する短編集。続編?「罪悪」も読もうかな。