最近読んだ本

これで27冊。今年中に30冊はいけるでしょうか。そうこうしてるうちに今年もあと三ヶ月。

悪の教典

悪の教典

単行本のときは上下巻だったのが、新書版で1冊にまとまると京極夏彦さんの本みたいに分厚い(笑)。でも、一気に読めて逆に良かったかも。手首は疲れましたが。このミス1位他、いろいろと賞を取ったり惜しくも取り損ねたりした有名作品ですが、いや、その評価は伊達ではありませんな。超絶に面白かったです。なんといっても蓮実先生の悪の天才っぷりと、しかもそれを本人が悪いことだとは全く思わず淡々と行っているところが戦慄的。蓮実視点で語られる彼の心理描写の、なんと自然でシンプルなこと。我々一般人の善悪の判断や常識を軽々と超越していながら、その感覚的な部分では我々が食事をしたり、仕事をこなしたり野暮用をするのと変わりない。そうして、学校での様々な問題を非常にダーティな手段で解決していく前半は、彼がダークヒーローのように見えてきます。クラス全員の抹殺計画が敢行される後半は、生徒たちの追われる様子の描写と相まってジェッットコースター的展開。前半の倒叙モノミステリ的味わいと、1冊で二度美味しい傑作。これ、続編できないかな。蓮実先生は、1作で終わってしまうのはあまりに勿体ない魅力的な主人公だと思います。映画化が楽しみ。

猫弾きのオルオラネ (ハヤカワ文庫JA)

猫弾きのオルオラネ (ハヤカワ文庫JA)

悪の教典」で殺伐とした気分になったので、口直しにメルヘンな話をと手に取りました。いやあ、酒好きな猫3匹と、飄々としたオルオラネじいさんがいい感じ。だけど、さすがはサイコダイバーや闇狩り師の夢枕さんだけあって、メルヘンにおいてもどっか妖怪ハンター的味わいのお話多し。

 ちなみに、この次に読んでいるのは、円城塔さんの「Self-Reference ENGINE」。「屍者の帝国」を読む前に、円城さんの作品を読んだことがなかったので予習として。ううむ、理系な感じで話について行くのに必死。でも、面白いです。