最近読んだ本

 今読んでいるのは冲方丁「光圀伝」なのですが、今月中に読み終わりそうにないので、とりあえず1月の読書は3冊、ということになりそうです。「青い脂」は越年読書なので、これを1冊とカウントするのは微妙な気もしますが、まあ昨年の読書数に入れてないから、よしとしましょう。

旅猫リポート

旅猫リポート

そもそも俺は「泣ける本」というカテゴライズが嫌いで。ある本を読んで結局涙してしまうのは、その物語で語られる心情や人物像に心を動かされて結果として涙が出るのであって、「泣きたい」と身構えて手に取るのはそもそも違うと思うし、泣かせようとして特別な理由もなく登場人物を不治の病にしてみたり不慮の事故に遭わせてみたりする作者は相当に嫌い。で、この本を読んで自分が泣いたか泣かなかったかというと…無論、泣きました。サトルが迎えるであろう結末も、何故彼が旅に出たのかという理由も、敢えて語られなくとも最初から想像がつくのですが、それでも、与えられた生を真摯に生き、出会った人たち(猫たち)を心から愛し、平凡ながらも懸命に生きたサトルと、それ故に美しい最後の旅路が、あまりに眩しすぎて。人が生きるということも、死ぬということも、波瀾万丈でなくてもただそれだけで美しくて素晴らしいことなんだなあ、と思いました。無論、猫が語り手の物語というだけで、猫好きの私にはたまらないお話だったわけですが。読後も余韻の残る1冊でした。
宇宙刑事ギャバン THE NOVEL

宇宙刑事ギャバン THE NOVEL

もうギャバン祭りも終わって久しいのですが、今頃読んでみました。うーん。これ、映像で観たらかなり面白いのかもしれないですが。この本の著者の小林雄次さんという人は牙狼の脚本も手がけた方で、面白いストーリーを作る才能は絶対にあるはずなのですが、なんというかこう…文才は、ないんですよね(ごめんなさい)。それになんというか、もっと深く厚く描き込めばもっと血湧き肉躍り熱くなれそうなお話を、こんな風にさらっと流してしまうのは勿体ない気が。そう、この小説を一冊読み通して徹頭徹尾感じたのは「勿体ない」というこの一言につきます。紫の女性宇宙刑事とか、絶対にビジュアル欲しかった気もするし。ちなみに、「紫のコンバットスーツ」…と聞くと、宇宙刑事ではないけどデザイン的には「それってジャンパーソン??」と思ったのは内緒(笑)

 先述の通り、今読んでいるのは「光圀伝」。いやあ、面白いです。この重厚さ、人物造形の深さ、是非大河ドラマ化して欲しい。けど、文章が緻密なので読み飛ばせず、読むのにはかなり時間かかりそうです。