大映妖怪まつり・完結編

ソラリス」、全然進みません。でも、不思議な雰囲気の小説だなあ…
 ちなみに、暗黒館はいつ読むのか、だんだん怪しくなってきました。
 てなわけで、先日後回しにした大映妖怪シリーズ三作、感想書きたいと思います。
 他にも今日は大幅更新。でも、なんかトータルして内容薄っぺらいような。反省。

☆ 妖怪百物語 [DVD]
 古い作品なんで、出てくる妖怪たちも手作り感に満ちあふれています(笑)ですが、そこがいい!その分、作り手の魂がよりこもっているというか、ローテクならではの愛嬌があるというか。妖怪には、九十九神みたいに物が意思を得たり、物に人間の意思が宿ったりして生まれるものも多いわけですが、そういう意味でこの作品に出てくる妖怪は、「本物」だったといえるのかもしれません。もう、唐傘オバケなんて一家に一匹欲しいくらいの愛らしさですよ!(笑…妻に言ったら、あんな人をべろべろ舐めるモノは鬱陶しいからいらん、と言われましたが(笑))
 とまあ、妖怪についてはこんなところですが、結構感心したのは、妖怪が主役かと思いきや、結構正統派時代活劇としても楽しめること。地上げに遭ってる長屋の仲間VS悪徳寺社奉行&豪商、というありふれてはいるパターンですが、しっかり妖怪と絡め合って無理なくテンポの良い展開に仕上げているところなんて、結構名人芸だなと。結局まあ、一番美味しいところは妖怪がさらってっちゃうわけだし、ラストの台詞が「この世には、人知を超えたことがあるものだ」と、いささか苦しい締めくくりなのは否めませんが、トータルとして楽しめたから良いのです。妖怪サイコー。
 ちなみにホラーとしては全然怖くないです(笑)。まあ、それを狙って作られたわけではないだろうからいいんじゃないでしょうか。


☆ 妖怪大戦争 [DVD]
 割と人情時代活劇の側面が強かった「〜百物語」に比べると、今回は完全に妖怪が主役。でも、登場する妖怪はほぼ同じ。ぬいぐるみフルに活用してますな。バビロニアの大妖怪・ダイモンの存在感もいいし(でもまあ、吸血妖怪だからって男の首筋に牙立ててるシーンが多いのは、絵面として厳しいですが(笑))、台詞も出番も増えてよりクローズアップされた日本妖怪のキュートさも最高潮。しかし、油すましが妖怪のリーダー格なのは、いったいどういういきさつからなんだろう…?(笑)
 ともかく、満足。面白かったです。


☆ 東海道お化け道中 [DVD]
東海道お化け道中 [DVD]
 今回観た三つの中では、一番妖怪の存在感が薄いです。むしろ任侠時代活劇。美味しいところもむしろ人間が主役。というか妖怪の出番少なすぎ(笑)。妖怪・お化けを楽しみたい向きには少しもの足らない感じですが、人情劇と活劇の部分が結構凝ったプロットなので、十分楽しめます。

 以上、三作品ですが、必ずラストシーンはたくさんの妖怪達が浮かれて踊る百鬼夜行の様子で締めくくられます。束の間、人の世界に現れた彼らは、最後に自分たちの目的を果たすと、それ以上のことは何もせず、自分たちの世界に帰っていきます(というか、そもそも彼らをこちら側に呼び込んだのは浅はかなルールを守らない人間の方だったりするし)。これって結構、強いメッセージ性感じません?この様子を自然破壊に当て嵌めるのか、戦争と平和に当て嵌めるのか、それとも日常の人間関係に当て嵌めるのかはさておくとして。ともかく、妖怪とかお化けがもし実在するとしたら、こんな風に良き隣人同士であれればいいなと思いました。