「奇術師」クリストファー・プリースト 古沢嘉通訳(bk1)

〈プラチナファンタジイ〉 奇術師 (ハヤカワ文庫 FT)
 なんだかやけに読了までに時間がかかってしまいましたが、後半、エンジャの手記になってからはサクサク読めました。なんだか、手記が出てくるけど語り手が信用出来ないというのは、ジーン・ウルフにも通じるものがあるかも(ウルフはケロちゃんしか読んでない俺がこんなこと言うのもなんですが)。実際のところ、奇術師が使う瞬間移動マジックの真相ということで、普通にトリックを使うんでなければ、幻想小説やSFとして料理するんならコレしかないだろう…と推測していた部分もあったんですが、それを遙かに超越した戦慄ものの結末でした。うええ、前半は古き良き時代の奇術師たちの回顧録みたいな感じで微笑ましいので油断してたらコレだよ!いや、噂に違わぬ傑作でしたね。これは、同じくプリーストの傑作とされる「魔術」も手に取らねばいけないかな。このミスランクインも大納得です。