「悩み多き哲学者の災難」ジョージ・ハラ 対馬 妙訳(bk1)

悩み多き哲学者の災難 (ハヤカワ文庫 NV)
 何の前情報もなく本屋で見つけて「面白そう」と思って購入した本です。得てして自分のこういうカンははずれるのですが、今回は大当たりでした。面白い〜
 奇想天外な話ではなく、ミステリとしての謎もサスペンスとしての展開もそうとう地味なのですが、悩める哲学教授が自分の身辺のことにいちいち理屈をつけて考え込む様子が、とてもユーモアに満ちて楽しいのです。最後の解決?のきかけとなるマロイ刑事との重要な会話も、哲学者らしい、なるほどと思える発想の賜物だし。
 論理や思想をライトな感覚で楽しみたい人には、かなりオススメ。
 ですが、がっつり鳩尾に食い込むようなミステリではないので、本格あるいはハードなクライムノベルを読みたい方には少し微妙かも。