「鷲尾三郎名作選 文珠の罠」鷲尾三郎(日下三蔵・編)(bk1)

鷲尾三郎名作選―本格ミステリコレクション〈6〉 (河出文庫)
 表題作をはじめ、ユニーク・ナンセンス推理の毛馬久利シリーズなど、大規模で派手なトリックが目に鮮やかです。が、文体が古めかしいため、結構読むのはしんどかった…。なので、自分は推理中心の話より、医療サイコ・サスペンスとでも言うべき「鬼胎」と「生きている屍」の方が楽しめました。トリックとしても医学的知識にしても他の作品同様古めかしいのですが、それでも鬼気迫るものがあるのは人物描写の緻密さとストーリーテリングの腕前によると思われ。