ジェノサイドの意味は「人類皆殺し」?

 いや、別に「人類」くっつけなくても。つーても辞書引いてみたら、genocideは《民族などの集団虐殺》らしいから、まあ、ある意味合ってるが…
 って、映画「昆虫大戦争」で、毒によって昆虫どもに意識を乗っ取られた人間が口走る「ジェノサイド…」という言葉について、劇中で堂々と昆虫学者さんが「ジェノサイド。人類皆殺しという意味だ」とのたまったことに対するツッコミでした。前置き長いが、そういうわけで、松竹60年代SFホラーの名作、「昆虫大戦争」を鑑賞したのです。

昆虫大戦争 [DVD]

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 なんか、川津祐介演ずる準主役?の譲二さんが、なんかスケベ。金髪女にうつつを抜かして可愛い嫁さんを悲しがらせたりするからそんなひどい目に遭うのよっ。というわけで、タイトルから想像すると一時世界的に流行した「スクワーム」や「スウォーム」のような、生物大群パニックホラーかと思ってましたが、メインとなるストーリーは、墜落した水爆搭載機のパイロットが殺害され、その罪を着せられた、昆虫採集を生業とする青年譲二さんの無実を証明するためのサスペンス。そこから、次第に謎解きがSF方向にシフトしていき、次いで醜い人間の本性とそれを憎む昆虫たちの意思などが明らかになっていきます。そしてあのカタストロフ。うーん巧い。
 科学考証とかが微妙な部分はありますが、やはりこの時代、原水爆による世界崩壊の恐怖というモノが人々の生活に深く根付いていたということなのでしょう、戦争と核に対する憎しみはかなり強いです。
 ともかく、この映画の最大の見所は、チコ・ローランドのムシ恐がり演技の迫力と(おい)、ラストシーンの、すべてが終わった海に新藤恵美さんの乗った小舟がさまよう姿の悲しさやるせなさ、この二点に集約されてる気がします。余韻深し。