- 作者: マイクレズニック,Mike Resnick,内田昌之
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1999/05
- メディア: 文庫
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それはともかく。
読み始めて前半は、キリンヤガでの人々の素朴な暮らしと美しい自然、コリバの語る寓話に秘められた深い真理に、人は科学の発展の中でいろいろなものを得たが、その代価に何を失ったんだろうかと、しみじみ感じたものだった。が、後半、些細なきっかけからキリンヤガの秩序が乱れ始めるのを見ると、結局のところ、人は一度来た道を無理矢理に引き返しても、そこが元いた故郷と同じモノではあり得ないのだ、ともっと切なくなった。
一番胸に刺さったのはやはり「空にふれた少女」だったが、結局、この物語のテーマもここに帰結していくのではないかという気もする。
一度空に触れたら、もしくは、一度エデンの林檎を口にしたら、それなくしては生きられないのだ。鳥も、人も。