「イリヤの空、UFOの夏」(全4巻)秋山 瑞人

イリヤの空、UFOの夏 その1 (電撃文庫) イリヤの空、UFOの夏〈その2〉 (電撃文庫) イリヤの空、UFOの夏〈その3〉 (電撃文庫) イリヤの空、UFOの夏〈その4〉 (電撃文庫)
 
 シリーズものや数巻に及ぶ長編を最後まで読み切ったのはどれぐらいぶりでしょう。
 全体的な感じとしては、「最終兵器彼女」をもっとリアルにして悲惨にしたようなお話でした。
 前半の微笑ましい学園ラブコメ風味から、徐々に暗雲が立ちこめ、あのどーしょーもないカタストロフィ。俺はこれ、一気に読んだからいいけど、連載で読んだり刊行ペースに合わせて気になるところで待つ羽目になった人は、キツかったでしょうなあ。
 ともかく、ラノベだからといって、読者層にしめる中高生の割合とか、そんなとこに少しも遠慮しない、大人の世界のイヤさ加減を余すことなく描く容赦なさがスゴイ。その中で最後に残る、イリヤの浅羽を「守りたい」という想い。それだけが、全ての救いとなり、儚く、しかし力強く輝く。なんか物語の本筋とはそう関係ないとはいえ、イリヤが駆り出される戦争の真実の姿は、割と唐突に大雑把に姿を現すので少し戸惑うが、真実なんてものは結局そんなふうに唐突で大雑把なんだろうから、特にマイナスにはならない。
 後半以降、あまりに順調に登場人物が惨い目に遭わされていくので、読み進めば読み進むほど、ページを繰る手が重くなる小説でした。傑作とは思うけど、読後は気分がふさいだ(笑)
宇宙とUFOが出てくるので、日記の日付を七夕にしてみました(笑)実際の更新は9日にやってるんですが。