西洋骨董洋菓子店

 先日、よしながふみさんの「フラワー・オブ・ライフ」の感想の中で「アンティーク」も読みたくなってきたと書いたら、妻の妹氏が台風の真っ只中にそれだけのためにうちにやってきて、全4巻貸してくれました。嬉しいけど、あんな嵐の中わざわざ。いやー、台風の時とかってなんか血が騒いで今わざわざしなくってもって外出を無理矢理してしまうときってありますが、そういう感じだったんですかねえ。タイフーン・ハイっちゅうか。まあ、こんな笑い話が出来るのも、自分の地域が台風の直撃を免れて被害がほとんどなかったからなんですが。巨大台風にすっぽり包まれて大変な目に遭われた九州のみなさまには、心からお見舞いを申し上げますです。
ともかく、ありがとうございました妻の妹氏。
そういうわけで感想!ときに「アンティーク」ってのはドラマのタイトルで原作は飽くまで「西洋骨董洋菓子店」だったんですね。ふむ、こっちの方が好きなセンスかも。

西洋骨董洋菓子店 1
よしなが ふみ著
新書館 (2000.6)
通常24時間以内に発送します。
西洋骨董洋菓子店 2
よしなが ふみ著
新書館 (2001.5)
通常24時間以内に発送します。
西洋骨董洋菓子店 3
よしなが ふみ
新書館 (2001.12)
通常24時間以内に発送します。
西洋骨董洋菓子店 4
よしなが ふみ著
新書館 (2002.10)
通常24時間以内に発送します。
とにかく、キャラ立ちまくりの4人の会話に、大笑いしっぱなしでした。その根っこに流れる切なさと、美味しそうなケーキの描写。格別甘いもの好きでない俺ですら、ここのケーキなら腹いっぱいになって糖尿が悪化しても(おい)食いまくりたいと思ってしまうほどの丁寧な描写。
そして、物語のメインの謎である圭一郎誘拐事件の真相なども、毎回のエピソードと上手くちりばめられていて、目が離せない感じでした。
この物語のラストですが、「寂しい」と感じる人もあるようですが、俺はむしろこの人たちの「強さ」と、「アンティーク」を守り育ててゆくことの「喜び」を感じました。ちょっとくらい向かい合っただけでは癒されない傷、消せない過去。そんなものをもごくあたりまえのこととして日常の中に抱きしめて、今の素敵な生活をより噛みしめて歩んでゆく強さ、その幸福。
おとなしめな絵柄とクールな展開、力まぬ上品な語り口にも関わらず、元気が貰えるコミックでした。魔性のゲイ小野さんと、お友達になりたいなあ。俺は明らかに彼の好みではないので魔性にひっかかるおそれはないから(笑)、普通に面白いいい友人になれそうな気がする。