『容疑者 室井慎次』を観てきた。

踊る大捜査線」好きの俺としては気になりつつ、地味っぽいしDVDが出てからでいいか、と思っていた俺ですが、過去に青島×室井のやおいサイトなんかを巡回していた経歴を持つ妻が、どうしても観たいというので連れ立って鑑賞してきました。
微妙にネタバレますので未見の方は注意。

・公式サイト http://www.odoru-legend.com/

面白くないことはなかったんですが、映画としてのバランスは相当悪いと言わざるをえません。展開とかかなり分かりづらいし、真相はなんじゃそりゃって感じ。君塚さんは、監督には向いていないと思う。マジで。
とにかく、室井さん周囲に喰われすぎ(笑)田中麗奈も八嶋さんも哀川アニキも、筧さんも真矢みき様も、みんなそれぞれに個性的でかっこよかったり戦慄的であったりして、それぞれに出来ることをしている感じなんですが、存在感がお互いに食い合って相殺されてます(笑)。なので、画面というか展開がすごく五月蠅い。だもんで、無論室井さんはクライマックスまで…はおろか、クライマックスになってもいいところ、ほとんどありません。それでも、柳葉さんの名演もあって、シーンシーンを抜き出してみると良い感じの雰囲気のものがいっぱいあるんですが。それでも、美味しいところを持って行ってしまうのは筧さんと真矢みき様なので、むしろ哀しくなってくる(笑)あと、自分って弁護士モノ法廷モノが結構好きでして、田中麗奈が新米弁護士役ってとこからもリーガルサスペンスとしての展開をかなり期待していたんですが、一度も法廷で勝負するシーンはなし。八嶋くんとの舌戦も期待したけど、実質は戦いにすらならない。
やーやっぱりこれだけのキャラクターとこれだけの情報量を詰め込むのならば、連続ドラマぐらいにはしないと。哀川アニキ演じる新宿北署の刑事さんだって、パンフ読んで裏設定みるとかなりいけるのに、署長である室井さんとの信頼関係がどんな風にできあがったかわからないから、彼がいろいろ頑張ってくれるのも「なんで?」って感じで説得力ナシ。
これらを総合すると、いろんな物語上のいろんな要素、テーマ、キャスト、設定、そういう諸々は良いものを揃えながら、租借せずに適当に詰め込んでしまったばっかりに、どこから切っても中途半端な作品になってしまったなあ、というのが俺的評価。
それでも、泣けたシーンは二つほどあって。一つは室井さんが死んだ恋人のこと、辛い過去を田中麗奈ちゃんに話すところ。もう一カ所は、物語の展開とはまるで関係ない箇所なのだが…室井に面会に来た湾岸署の三馬鹿が、「和久さんが心配していました」と言うところ。いかりやさん亡き今、和久さんはもう画面に登場することはあり得ないんだなあ、と思うと…もし、あの人が元気なら、次の「踊るレジェンド」は和久さんが主役だったろうに。そう思うと寂しい。