「フェティッシュ」西澤保彦

フェティッシュ
西沢 保彦著
集英社 (2005.10)
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久々に手に取った西澤さんの作品ですが、面白い!人を狂わせる、渦のような存在を描くサスペンスやミステリは数多くあれど、ここまで「モノ」としての魅力、カタチ、外見のみに特化して、すなわちフェティシズムの対象としての「ファム・ファタール」(クルミは男性のなのでこの言葉は本来適切ではないが、そのメンタリティが限りなく蹂躙される側に立たされた場合の女性に近く描かれている気がするので、敢えてこう書く)を描ききっているのは、希有なのではと思ったりする(あくまで自分の知識の範囲内であるが)。西澤さんって、お会いしたことあるんですけど、本当に穏やかで優しくて紳士で、いい人なんですよー。その真面目そうな西澤さんが、このように人間としての何かを見失っているキャラをイキイキ描けるというのは、いつものことながら本格ミステリ界の七不思議かと思ってしまうわけなんですが(笑)。ともかく、変態がいっぱい出て来て、迫力あります。そして、インモラルな刑事を描かせると、少なくとも本格ミステリ系の作家さんの中では、多分西澤さんは第一人者(笑)
「夢幻巡礼」の主人公だった殺人狂刑事にも似ていて、自分的にはぞくぞくする魅力を感じました。