「グラスホッパー」伊坂 幸太郎

グラスホッパー
伊坂 幸太郎著
角川書店 (2004.7)
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相変わらず、どこまでも個性的なキャラが絡み合う伊坂節、堪能しました。
陽気なギャングが地球を回す」でも感じたことですが、伊坂さんは存在感のあるキャラを造形するのに、独特の方法論を持っておられるような気がします。数々の特徴、特性、特技を付け足し付け足し複雑化させるのではなく、逆に分解して単純化していくことによって尖鋭化し(例えば、この作品に出てくる「押し屋」とか、「陽気なギャング〜」に出てくる演説の名人とか)、そこから連想されるキーワードで個性を膨らませていく、そんな感じ。ともかく、独特の方法で人を殺す裏稼業の方々が裏に表にバトルを繰り広げる様は、先日読んだ都筑道夫氏の「なめくじに訊いてみろ」にも通じる面白さがありました。しかし、鈴木くんってば主役(なのかな?)なのにいまひとつ影が薄いというか何もしてないというか(その意味では狂言回しに過ぎないのか)、少し惜しい気がします。ラストはなんか腰砕けだし(笑)