「崑崙の王(上・下)」夢枕獏

大作家獏さんの作品でも、やっぱり絶版になることがあるのかー。
bk1でも、アマゾンでも品切れ取り扱い不可でした。
いやー、下手すると10年ぶりくらいの獏さんで、もっと久しぶりな九十九乱蔵シリーズなんですが、やっぱりいいわあ、このドロドロな舞台設定と遠慮会釈のない残酷なアクション&バイオレンス。そして、こんなにも血と糞尿とタブーにまみれた世界なのに、どこまでも爽やかな乱蔵のキャラクターが、実に明るくて屈託がなくて、スコーンと抜けてていい感じなのです。ですが…個人的には、乱蔵ものの長編としてはこの一つ前の「蒼獣鬼」がマイベストなので、そこからすると少し幻想性や悪夢性は大人しく感じたかも。
だがしかし、この作品のお楽しみは、なんといってもキマイラシリーズの主要敵キャラの一人、龍王院弘の存在でありまして。出てくる出てくる、キマイラシリーズの懐かしい人名や技名、イベントが。本編の進行が止まって久しいキマイラですが(最新刊が最近出たけど、番外編だったからね…)、やっぱり続きが気になる面白い物語ですよ。ちゃんとした再開と、何年(何十年?)かかっても完結を切に願わずにはいられません。