今年の読書ペースは…

昨年より大幅にスローです。本日までで11冊。
1月は読書する気があんまり起こらなくて、何故か思い立ってハチクロ全巻再読とか、長谷川裕一マップス」および「轟世剣ダイ・ソード」全巻再読を敢行していたので。
とりあえず、ハチクロ再読はドラマがあまりにも原作からかけ離れているので欲求不満に陥ってしまい、衝動的に原点に触れたくなったからでした。いやー、何度読んでも良いわ。
それはともかく、ここまでの読了報告をざっくりと。

★「インシテミル米澤穂信



本格バリバリのステージに立たされているからといって、その人間が本格ミステリ好きでなければ意味がない、そしてむしろそんな条件の全てが綺麗に揃うことがいかに稀で嘘っぽい事態であるか…という、本格のお約束を根底から否定してみることによって、逆に本格なロジックを構築してみるという、野心的作品。うむ、ロボットが出て来たりとか、ちょこちょこ反則っぽい要素がいろいろあるのは少し悩ましいですが、それでもしっかり楽しみましたよ。ちなみに、探偵役がその局面ごとに異なってて、それぞれ違う推理を披露するあたり、毒チョコ風味でもあり、美味しかったです。でも、表紙の西島絵はあんまり中身と合ってないような(^^:

★「青空の卵」三部作 坂木司









三冊揃えておきながら、長いこと積読にしてましたが、この度めでたく消化。最初は、いささか推理も事件も強引な感じがして、好きになれるかどうか不安でしたが、短編を一作ずつ読み進めるうち、だんだん楽しめるようになっていきました。だけど、やっぱり鳥井と坂木くんの関係は腐女子向けに造形されているとしか思えない(^^:作中で「おまえらホモか」と揶揄され、不快にあるいは不可解に感じているシーンがありますが、この二人の姿を恋人同士のもの以外の何として認識しろと言うのか(笑)。まあ、そういうところも含めて、面白かったですけど。
それはともかく、「ひきこもり探偵」というところで、「デスノート」の「L」とどうしてもイメージがかぶってしまい、私の脳内での鳥井の映像が松山ケンイチだったのは内緒です(笑)

★「古時計の秘密」キャロリン・キーン 渡辺 庸子訳  



なんか、私的感情と思いこみで暴走しているうちになんだか好都合に事態が解決に向かうスゴイミステリ(^^:まあ、元は児童書ですからね…わかりやすいのと元気なのが一番ってことで。ちなみに、ナンシーはほとんど「推理」と呼べるものを行っていないと思います(笑)むしろタフさで切り抜けるハードボイルド型探偵ですな。

★「魔術師」ジェフリー・ディーヴァー 池田 真紀子訳



新刊が出るごとに必ず買う癖に、厚さに負けてついつい積読にしがちなリンカーン・ライムシリーズ。最高傑作の呼び声高き最新刊「ウォッチメイカー」目指して、早く読んでしまいたいんだけれども、やはり読み始めるのに気合いがいるので(^^:、なかなか追いつきません。読み始めさえすれば、長さなんて全然感じないんですけどねえ。
で、これまた当時の「このミス」で上位ランキング入りを果たした「魔術師」、噂に違わぬ傑作でした。今度の敵は「魔術師」ってことで、本格好きなら血を沸き立たせずにはいられないトリックバトルが展開。それに加えて、常にライムたちを一瞬の差で出し抜く、まさにディーヴァー版レクター博士といった風情の「魔術師」の存在感は圧倒的。ごちそうさまでした。

★「治療島」セバスチャン・フィツェック 赤根 洋子訳



何年かぶりにジャケ買いした海外ミステリ。帯の惹句「スピード感がゾクゾクする」という一文に偽りなし。次から次へと、息もつかせぬ展開が矢継ぎ早…なのですが、暗い!とにかく暗い!(^^:ネタが精神分析と異常な幻覚症状のセラピーなので、とにかく全編通じて重苦しくて陰鬱なのであります。その意味では、「息もつかせぬ」というより、濡れた手で口を塞がれている感じでフツーに「息ができない」というイメージに近いです。それだけ苦しくても、先を読まずにいられないのだから、その語り口が相当巧いのは間違いないです。ですが、事件の真相は、これまたネタがネタだけに、容易に予想できます。が、その裏に更にむ一歩どんでん返しが仕込まれているとは…やられました。二度美味しいです。
しかし、これ映画化するらしいですが、こんな虚実ないまぜワケワカメなストーリーを、一体どうやって映像化するというのだ?!

★「阪急電車」有川 浩著



 有川さんの軍隊ネタ以外の小説、久しぶりに読んだ(笑)。ですが、いわゆる「普通」の恋愛小説を書いても、 やはり格好良くて可愛くて切ないのであった。面白かった!各編の間のリンク具合も絶妙で、人が集まる場所にはその人の数のドラマがあることを実感させてくれます。重厚なり。

★「オイレンシュピーゲル」&「スプライトシュピーゲル」3 冲方






うっかり3巻が出たのをチェックし損なっていて、今頃読んでます。相変わらずラノベとは思えない難解な筋と仕掛けですが、キャラのパワーでぐいぐい押し切ってしまう感じ。ですがやはり、好みなのはオイレンだなあ自分的には。基本的に、天翔るものと地を這うものを並べると、俺は後者に魅力を感じる方なのです。血や泥にまみれても、自らの足で走り抜くケルベルス3人組の姿は、やはりどこまでもダーティでだからこそ気高く美しいと思うのです。スプライト3人組が気高くないと言うわけではないのですが無論。ところで、吹雪と冬馬くんとは主人公達にとての立ち位置といい性格といい、双子かと思うくらい似てますね。