2011年入ってからの読書

昨年末から読み始めて、年を越してしまった本もあるんですが。

猫と魔術と神話事典

猫と魔術と神話事典

猫好きのあまり、衝動買い。猫が神聖視されるのはエジプトだけかと思ったら、キリスト教においても原初では神聖な生き物だったのですね。キリスト教が土着の信仰を追いやる過程で、神聖なものを悪なるものに転化させていくプロセスがよくわかった感じ。

伊藤計劃の本で未読だった一冊、ついに手に取りました。自分はメタルギアシリーズをプレイしたことは一度もないし、ぶっちゃけゲーム名をどこかで聞いたことがある程度だったんですが、それでも問題なく感情移入できる、抜かりのない構成。メタルギアシリーズに初めて触れるはずの自分が、まるで昔からスネークの戦いを見守り続けていたかのように熱く、彼の戦い、彼の終演に声援を送り、涙していた。伊藤計劃という稀代のストーリーテラーでしか紡げない、極上のドラマ。そしてまた、この作品も「虐殺機関」「ハーモニー」と同じく、生きることの意味を、人が人である理由向かい合った物語。彼が生み出した物語は、サニーの目玉焼きのように、多くの人々にしっかりと届けられたと思う。願わくば、もっとたくさんの物語を、彼から受け取りたかった…改めて、彼の才能を惜しまずにいられません。

微睡みのセフィロト (ハヤカワ文庫JA)

微睡みのセフィロト (ハヤカワ文庫JA)

冲方さんにしては随分短めなお話。しかしその中には、後書きで冲方氏自身が認めているように、後の冲方さんの傑作群に通じるキーワードがてんこもり。てんこもり、なんだけど…やっぱり、この作品単体として観ると、随分薄味で食い足りない感じ。テクノロジー関連の描き込みも、なんか踏み込み浅くて理解しにくい感じです(俺だけ?)
ちなみに主人公パットが40越えの中年オヤジですが、シュピーゲルシリーズにやけに渋いオヤジが大勢出てくるのに通じるものがありそう。でもまあ、この主人公でラノベとして発売しちゃうと、まあ発表当時は売れないよねえ…

1月中で3冊。もう、年間100冊とかいったいいつ立てた目標か忘れてしまいましたよ。