新旧「七人の侍」

 先日からちょろちょろ観てます「サムライセブン」、結構はまっております。
 比較的近所のツタヤさんが、4巻をまだ入れてくれない(そういや、ここまでの巻も3本いっぺんに「新作」扱いで入ったんだっけ)ので、待とうか自分で買おうか真剣に悩むほど(まあ、最近散財しすぎでお金ないんで待つと思いますが)。ともかく、続きが観たくて観たくて仕方がない。その欲求不満を少しでも緩和すべく、昔入手して未鑑賞のまま積んでいた元祖黒澤監督版「七人の侍」を観ましたでゲスよ。
 まあ、欲求不満はさておいても、先日からずっと「これは原作を観ていれば倍以上楽しめそうな気がする」というオーラがぶんぶん立ち上っておったので、時間を作ってちゃんと観ないと、と思っていたのです。
七人の侍 [DVD]
 ほとんど神にも等しい存在の「世界のクロサワ」監督の作品なので、私ごときが素人な批評をどうこう言っても無意味。噂に違わぬ傑作であった、とだけ申しておきましょう。ただ、「サムライセブン」と並べて考えてみるとき、「サムライ〜」は明らかにアクション・エンターティメントとしての路線を突っ走っているのに対し、元祖は娯楽としての完成度も無論高いけれどもそれだけではない、戦争とそれに蹂躙される者との関係など、暗く深いテーマも横たわっているわけで、このあたりを「サムライ〜」で最終的にどう料理するのか、かなり気になります。それはともかく、「サムライ〜」の方はやはり原作のツボは押さえつつ、世界観・ストーリーともにオリジナリティもふんだんに盛り込んだ贅沢な作品、ということは確かに言えると思います。キュウゾウかっけー(新旧両方)。
 で、実はその前に観ていました「サムライセブン」DVD3巻。
SAMURAI 7 第3巻 (初回限定版) [DVD]
 変わらず、いいペースで増えていく仲間。今回の新顔はヘイハチ。いやーかわいいねえこのヒト。登場のさせ方も、原作を踏まえてな愛嬌たっぷり。しかも相当有能有望株。カラクリが得意というのは、この世界観ではかなり重宝しそうだし。
 そしていよいよカンベエから「サムライ」としてのお墨付きを貰えるのかキクチヨ!かっこよすぎの6話ラスト。コマチの号泣に思わず貰い泣き。おっちゃま!

「怪盗ニック登場」エドワード・D.ホック 小鷹 信光編 木村 二郎ほか訳(bk1)

怪盗ニック登場 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
 短編の名手ホックの怪盗もの。ちなみに帯の推薦文はモンキー・パンチ。微妙な褒め言葉が素敵(笑)。
 ホックらしく、山椒は小粒でピリリと辛いチックなしっかりした作りの佳品ばかり。
 しかし、最後のどんでん返しを仕掛けるためだとは思いますが、依頼人を裏切りすぎです(笑)>ニック氏いやまあ、別に彼が裏切りたくて裏切ってる訳じゃなくて、むしろ最初に裏切ってるのは依頼人の方かとは思うんですが、一応客商売なんで、あんまり依頼人の顔をつぶすと依頼がこなくなるかと…
 ちなみに気に入ったのは、虚構を現実に見せるための大がかりなトリックが見事な「真鍮の文字」と、スケールがでかくてなおかつ読後感も極めてさわやかな「大リーグ盗難事件」。

「ぼくらの」鬼頭莫宏 (2巻以下続刊)(bk1)

姫川みかげさんのとこで知ったこのコミック、みかげさんの読む本はなんとなくチェックしてしまう癖がある俺は(笑)、つい手に取ってしまいましたが、うわーすげーやコレ(笑)。
 痛すぎ、シビア過ぎ、そして哀しすぎ…にも関わらず、反対になんか生命力に満ちあふれている。この子供達は、自分が死ぬことがわかっている。だけど、その死は『生きるための死』であり、何かを確実に生み出している。んーなんか抽象的な言い方だなあ。とにかく、傑作。
 ときに、この作品がジョージ秋山氏の伝説のSFコミック『ザ・ムーン』を相当意識しているのは明らか(物語中で子供の一人が遠回しにこの作品のことに言及してたりするし、彼らが操るロボットの名前「ジアース」の由来は「ジ・アース」で、「ザ・ムーン」と似ているっちゃ似ている)。『ザ・ムーン』のラストは救いのかけらもなく子供達はただ無駄に死ぬが、せめてこの物語の結末は、何らかの救いがありますようにと祈らずにいられません。