「黒いハンカチ」小沼丹(bk1)

黒いハンカチ (創元推理文庫)
 なんといってもこの短編集は、探偵役ニシ・アズマ先生がかわいくて良いです。お昼寝大好きなとことか(笑)。この先生の推理法としては、観察+直観型というか、論理的に謎を追いつめると言うよりは何かを見てはっとする感じ。ですが、謎を解いた後の犯人への追求の仕方とかが、ハッタリが効いてて良いのです。このあたりから、北村薫氏が評するように「ホームズの直系の弟子」だと実感するものであります。そういえば、犯人をあまり手ひどく追いつめない優しさもホームズ似かも。
 戦後の女性意識改革の風の最中に婦人雑誌に書かれただけあって、当時考えられるところの「新しい女性像」についての記述が見られるのも面白いです。