いやー、「シャム双子〜」を先に読んでおいて良かったです(笑)。ネタバレの件もさることながら、この作品の中で繰り広げられるクイーン論は、絶対にシャム双子のネタバレなしには語れない。自分はあまり北村薫さんの作品を読めていないので、この作品も「クイーンのパスティーシュとしてどうか」という観点からしか感想を述べられないのですが、あのたくさんの注釈、文体、クイーンの人物像、あらゆる側面から見て、すっかり愉しんでしまいました。50円玉20枚の謎とか、国名シリーズの一冊として位置づけた場合の謎と解決とかは少し強引で観念的な気もしますが、それも「クイーンが見た日本」における、異文化の中での事件、として考えればそれほど不自然ではないので、欠点ではないと思います。
とにかく、フレデリック・ダネイ氏来日時の状況や時代背景とか、いろいろ勉強になるし、クイーン好きにはやはりたまらない美味しい一冊です。満腹。