「シャム双生児の秘密」エラリー・クイーン 井上 勇訳

シャム双生児の秘密
エラリイ・クイーン著 / 青田 勝訳
早川書房 (1978.6)
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ぬおお、「ニッポン硬貨の謎」を読む前の必読テキストなのに、なんでBK1に在庫もデータもないんじゃああ。というわけで、上のデータはハヤカワ文庫版ですが、実際に読んだのは創元版。
オランダ靴で弾みがついているからか、今回も訳文の善し悪しはどうでもよく、ざくざく読み進んでしまいました。面白かったー。迫りくる山火事の恐怖も、単なる舞台の小道具以上に、ほとんどスペクタクル的な迫力でもって描かれています。ただ、オランダ靴を読んだ後だと、その事件であそこまで鋭く犯人像を暴きあげたクイーン氏にしては、少し推理の切れ味が鈍いというか、「後で気づいた」事柄によって新たな展開がもたらされている場面が多いので、その点少し物足りない気もします。とはいえ、生きるか死ぬかのこんな状況下での事件ですから、流石のクイーン氏も不調だったということなのでしょう。
 ともかく、殺人事件は一つなのに、山火事の脅威と二転三転する推理で最後まで飽きさせない展開、ストーリーテリングの妙に脱帽でした。