子ども番組の原点に帰るのが最近の特撮の傾向か?

えーと、多分東京あたりでは既に第二話放送されているんでしょうが、うちはBSジャパンの方で観てるので、昨日初めて観たのです。超星神シリーズ第三弾、「超星艦隊セイザーX」。
なかなかにシンプルでわかりやすいけれど、それなりに個性が描き分けられているキャラクターたちに、テンポの良い展開、まあ、細かい設定の描きこみや説明は大雑把すぎる気もしますが、それはこれから語られたりもするんでしょうし、特撮はまあ十分迫力があったので、良しとしましょう。ですが、ガキを助けるために無理矢理宇宙船の操縦を奪い取る拓人とか、コスモカプセルとかゆー貴重品がなんでその辺に転がってるのかとか、なにそのガキの喧嘩みたいな取り合い取っ組み合いみたいなとこから嫌な予感がし始めて、エンディングと「こんにちわ!」で愕然。
なんだこの「おかあさんといっしょ」級のお子様向けっぷりは。
…だがまあ、ヒビキの路線変更やネクサス打ち切り、マックスの幼児向けっぷりを知ってる身としては、それほどの驚きでもなし。まあ、「こんにちわって言おうね!」ってメッセージはマジで大切だと思う(いやマジで。情操教育の上で、ヒーローものにもきっちりこういうコーナーを設けることは実はかなり有効なんじゃないかと思いすらした)し、どうせやるのならここまで「これはそういう番組です!」と全身で主張してくれた方がいっそ好感すら持てる。
ただやっぱり、こうやって子供番組としての原点に帰っていくのが最近の特撮の傾向なのかしらん、とか思うと複雑な心境。ここ数年、大人向けアピールに成功してきたが故に築かれてきたのが現在の特撮ブーム(だって、クウガとかタイムレンジャーとかアギトとかがあれほどブレイクしなければ、絶対に生まれなかったであろう雑誌とかいくつもありますよ。特撮ニュータイプとか)だと思うので、それが失われてしまうのはやっぱり少し寂しい。
結局、この原点回帰は、時代の要請としてもっと純粋な意味での子供向けヒーロー番組が求められているということなのか、スポンサーが気が短くなって経営も本気でやばくなって、なりふり構わず口出しすることに決めたということなのか、どっちなんだろうね?
少なくとも、ヒビキさんとかネクサスの事情を見る限りでは後者が強いようですし(無理に子供向けに作らなくても、本当に「面白い」ものを作れば子供はちゃんと感じとる、というのが俺の持論でもありますし?)、ああ、なんか大人の事情でその番組やシリーズの方向性がその物語的価値とは違うところで歪められてしまうのは、やっぱ悲しいなあ、としみじみ溜息。


といったところで、こっちは大人も子供(?)も楽しめるであろうアニメの感想。

トリニティ・ブラッド chapter.1 [DVD]

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吸血鬼ものとしては、「吸血鬼の血を吸う吸血鬼」クルースニクとか、斬新な発想がありつつ、そこにサイボーグとかテロとかいろんな要素をデコレートすることで、かなり面白くなってる感じのお話ですね。というか、「吸血鬼もの」という一見使い古されたモチーフも、アレンジでここまで新味を持たせられるというグッドな例で、恥ずかしながらお話作りをする人間である俺としても、かなり参考になりますた。
原作は未読なんですが、原作読者のみなさんから観て、このアニメ化はどうなんでしょう?忠実?
ですが、「不殺(ころさず)」っていうキーワードは、「トライガン」や「るろ剣」まで徹底して初めて説得力や感動を生めるテーマだと思うので、ナイトロード卿がおっしゃっても、少しちぐはぐな気もします…同僚はトレスくんとかざんざか敵を大量に殺しまくってるわけだし。
ちなみに、トレスくんは、ゾロ声の中井さんといい、「ポジティブに(もしくは「ネガティブに」)」という台詞といい、かっこいいですねえ。