「図書館内乱」有川浩

図書館内乱
図書館内乱
posted with 簡単リンクくん at 2006. 9.18
有川 浩著 / 徒花 スクモイラスト
メディアワークス (2006.9)
通常24時間以内に発送します。
シリーズ化決定だそうですが、この先お話がいろいろ広がっていくための布石があちらこちらに打たれて、わくわくしてしまいます。今回は、笠原郁ちゃん以外のキャラの見所も内面もよりクローズアップされて、カッコイイ大人を描いたら右に出るモノはいない有川さんの面目躍如って感じです。そして、前作でも舌を巻いた会話のテンポの良さ、滑らかさも無論健在。いやーボケとツッコミのタイミングがこれほど絶妙でしかもすべってない小説も珍しい。
で、元図書館員としてはひじょーに気になる、「図書館の自由」という部分、検閲とか表現の自由とか、についてとか、図書館の組織としての矛盾とか、有川さん特有の「組織はキレイごとではやってられない」という視点に基づいて、かなり描ききっておられます。「原則派」と「行政派」の対立なんてもうそれは…俺のいたころの図書館の職場人間関係の縮図そのままで、涙出ちゃったよ!(笑)。
ともかく、今後も様々なテーマを巻き込んで、より盛り上がっていきそうな図書館シリーズ。無論楽しみですが、なにぶん、ある意味マニアックで地味な分野のお話なんで、一般読者がどこまでついてこれるか、もしくは一般読者をどこまで引き込むことができるか、それも息を呑んで見守ってます。
ともかく、「レインツリーの国」は買おう。うん。小牧さんカコイイ。