「魔の都の二剣士」フリッツ・ライバー 浅倉 久志訳(bk1)

魔の都の二剣士 <ファファード&グレイ・マウザー1> (創元推理文庫)
 帯によると「最も優れたヒロイック・ファンタジー」とうたわれたシリーズだそうですが、やはり書かれた時代が古いので、味わいとしては新鮮に感じるところはありません。しかしながら、実際に伝わる民間呪術の体系を下敷きにしていると思われる魔術・妖術の描き方は存在感ありまくりだし、犯罪都市ランクマーの暗い輝きに満ちた描写はノワール風味で素敵です。ただ、如何せん俺には、北国のバーバリアンであるファファードもグレイ・マウザーも、どうも単なる知恵のないごろつきのような感じしか抱けなくて、好きになれないのですよね…女にだらしないところなんて特に(笑)。でもまあ、この一冊に入っている作品は、どちらかというと後期に書かれたもの(物語内の時間軸では一番最初ですが)「外伝」として読んだ方が良かったのかもしれないです。それにしても、ランクマーの話ってぶっちゃけ、一晩の間の話なんですよね…しかも物語の大半、主人公達がアルコール入りだってのはどうなんだ(笑)