「カリブ諸島の手がかり」所収の「ベナレスへの道」を読んだときの衝撃は未だに忘れられませんが、この短編集もなかなか、犯人や真相の奇怪さではいけてます。でも、如何せん、探偵であるポジオリさんには、やっぱり魅力がないし推理に論理性はないなあ…よく後手後手に回ってるし。
自分が印象に残ったのは、閉鎖的な集団に充ち満ちる猜疑心と緊張感が結構戦慄的な「真昼の冒険」と、いやーな人たちの陰湿きわまりない殺し合いに教授が振り回されて終わる(笑)ジャラッキ伯爵登場の2本、殺人事件の真相はどうでもいいが塀をどうやって塗ったかの方がずっと気になる「塗りかけの家」です。