ブロミス賞について思うこと

 正直、先日の司先生のコメントを最初に読んだときには哀しかったり憤りを感じたこともあったのですが、司先生が言及されていた「司先生の悪口を言っていたE賞への応募者」などの諸々を調べていくうちにそういう気力も萎えてきて、というかそれほど憤る価値もないという気分になってきたのですが、一応意思表明というか姿勢表明をしておかないと格好が付かないので(俺ごときの姿勢を気にする人なんざほとんど世の中にいないでしょうが誰が読んでいるかわからないネットのこと、自分の言ったことには責任をもちたいと思うので)、敢えて書きます。


 司凍季さんが主催され、それなりにミステリ系・創作系webサイトの間では話題になったこの「ブログ・ミステリー短編賞」別名「死体を転がせ」。
 その第二回目が先日閉幕しましたが、その結果は「該当作なし」という残念なものでした。
 該当作がないことについては、仕方ないな、というのが正直なところ。応募した自分自身も、絶対の自信があるものを投稿したとは言い難いですし(与えられた環境の中でベストを尽くしたと断言は出来ますが)、他の応募作を見ても少なくとも自分が把握している範囲ではプロ作家が満を持して推薦する、というレベルには到底達しているとは思えません。
 ただ、自分がひっかかるのは、総じて今回の応募作が『意気込みがない』『オレ(アタシ)が日本のミステリー界を変えてやる!」というような熱意が感じられない』と談じられていたこと。気になるのは2点。


①どの部分をどのように評価して、「意気込みがない」と判断されているのか


 司先生のブログを追っかけておられた方ならご存じ(今となってはそれもどのくらいおられたのか疑問)だと思いますが、この賞の応募の方法は、「まずプロットを提出という」形式をとられていますが、その後に実際の検討をどのように行うのかについては、具体的に触れられていません。
 しかしながら、第一回の際には受賞作に対してかなり詳細な評価・注文をつけ、それをもとに原稿を執筆させようとしたり(実際は、受賞者は先に執筆に取りかかっていたようですが、それについて司氏は「自分の評価を元に原稿を執筆して欲しかった」旨のコメントを添えられていましたので、賞運営者としての姿勢は『結果発表後に改めて原稿執筆』という形だったと解釈できます)していますよね?
 この方法論からいくと、この賞での評価のポイントは飽くまで「プロットとしての魅力」と「トリックの完成度」であったと考えられますが、その割に賞の開設当初、「書くこと「だけ」が得意な人でもオッケー」である旨の記載もあったように思います。
 それなのに、第二回では実際に書かれたものも見ず、個別に提出も求めずに「気迫がない」「熱意もない」と。
 別に、それでもいいのです。プロットですべてを判断する、トリックがへぼいのは最初から相手にしないよ、そういうスタンスで運営している、という姿勢が要項でも他の発言にでも記されていたのならば。そうじゃないのに、公平に評価できるルールを整えないで、自分が目にした箇所だけで「熱意がない」などと評するのは、いくらアマチュア相手でも失礼ではないでしょうか。


②「熱意」「気迫」が主催者側にもあったのかどうか


「ミステリ界の未来を変える」くらいのレベルの投稿者を求めるのなら、主催者としても個人として組織であるを問わず、相応の対応をする用意がなされてしかるべきだと思うのですが…すみません、司先生の募集の呼びかけの仕方からは、そういう熱意は逆に感じられませんでしたが…
 とりあえず、「参加お待ちしています」と個別にサイトまで赴いてコメントくださる姿勢は評価するとして、その後実際に投稿してみたら、「初めまして」と挨拶されてしまうと…(苦笑)。おそらく司先生は不特定多数のサイト・ブログに呼びかけを行っていたとお察ししますので、そのうちの一人から反応があったからといってご記憶がないのは、ある程度仕方ない部分もあるかとは思います。ですがまあ、実際問題として誠意は感じられないですよね(笑)。
 あと、第一回において、特定の投稿者が連続して無尽蔵に投稿を行ってくる状況も、おそらく他の参加者を遠ざける雰囲気を作っていたと思われるのですが、そういう事態に対して、何の手だてもとられていなかったですよね、司先生は。まあ、「引いてしまった投稿者」というのはひょっとしたら俺だけかもしれないのですが、実際、開催発表当時にあれだけ随所で「斬新な試み」として取り上げられていたブロミス賞の記念すべき第一回に、一人しか応募者がなかった、という事実と考え合わせるとそれほど的はずれでないように思うのですが…
 まあ、この「熱意」の感じ方というのは、個々人に差があるものですから、実際の行動は別にして司先生の胸の内に、ミステリ界に一石を投じたい熱い魂があった、熱意は十分にあった、ということなら、俺のこの言説は即座に切り捨てられてしまうのですが…その場合参加者の側にも見えない熱意があったかもしれないことを考えてみてくれればよかったのにとは、思いますが…
 また、第一回の受賞作原稿が出来上がってきたときに、「遊びだと思っていたこの賞が…」と先生自身仰られていたように思いますが…主催者はお遊びなのに参加者は真剣に「ミステリ界を変える気で」やれ、ってのはいささか無茶というか身勝手な仰りようなのでは?


 ここまでは、ブロミス賞の運営そのもの、それにあたる主催者側の評価ポイントについての意見です。
 ここから先は、今回の企画を行った司先生個人の意志に対する疑義となります。


 司先生のブロミス賞という試みの主旨としては、「ブログという新しい媒体の中で、新しい小説公募の形を創造したい」と自分は解釈しています。たしか、細部はともかく同じ意味の文章が司先生のブログに掲載されていたと記憶していますが、過去ログの一切が削除されているので確認できません*1。なので、一切自分の記憶違いだという場合、この意見は全くの無意味となります。なので無視していただいて結構です。
 ただ、第一回・第二回を通してのボロミス賞じゃなかったブロミス賞の投稿者は、その新しい形、通常の雑誌や出版社主導の公募とは異なる評価の視点を求めていたのではないでしょうか。だからこそ、一度落ちた作品を応募してみる人もいた。それを、「誰が見てもダメなモノはダメ」*2とざっくり切り捨てるのなら、最初から要項に「他の公募に出したモノは省く」とか、「新規に執筆したものに限る」とか書いておかれたらどうでしょう?
 そういう意味から、司先生がブログというものを通して、その最初に述べられていた主旨通り、本当に新しいモノを創造する意志があったのかどうか、問いたい気持ちがあるのです。これは、先述の「主催者側の熱意」にもつながる部分であります。
 ブログという媒体がなぜこれほどブレイクするに至ったのか。それは、俺ごときが誰もに納得してもらえるように語れるようなシンプルな話ではありませんが、少なくとも、誰もが気軽に参加できる、そして立場を超えて話題を提供し合いされ合える点にあった、と思うのですが…(少なくとも、今ブレイクしている有名人ブログの記事・投稿・トラックバックの中身からはそう思えますが)
 そのあたりを全く理解せずに、司先生が今回のブロミス賞のような試みを企画し、その審査判断の場に持ち込んでいたとすれば、それはいささか問題なのではないでしょうか。少なくとも、ご自身が賞の企画時に提唱されていた主旨を、自分自身の運営の方法によって裏切られたことになる。
 俺の言うことは間違ってるのでしょうか。


 最後に、これは自分自身の首を絞めることになるんじゃないかと思いつつ、ここまで言ったら終いまで言わずにいられないので。
 司先生が、その第二回ブロミス賞の結果発表において言及されていた、


>ブログやHPでさんざん人(私)の悪口を書いておきながら、「E賞に応募しました」などという文句を見ると笑ってしまう。作家も商売である以上、気の強さと同じくらい腰の低さ、謙虚さが重要なのだ。匿名で人(一応先輩作家)の悪口を言っているような人間にE賞が獲れるはずがない。


 という点について。俺は、その該当のものと思われるブログを発見しましたので、後学のためと思いじっくり読んでみましたが…少なくとも、自分にはその方達は司先生を誹謗中傷する意図はなく、自身の意見として公平に論じられているように感じられましたが…
 先生のお考えですと、作家になりたいとか小説を書きたいとか思う人間は、公平な立場で意見を言うことすら許されないのでしょうか。むろん、先輩作家の悪口を言うのは作家志望者として損であることは身にしみて(笑…今回の自分の発言も含めてね)わかっていますが、少なくともブログという媒体の特徴から考えた場合、そのようにトラックバックやリンクを通して議論をし合うことはむしろ理にかなっており、先生の言い分こそが横暴で狭量に感じられるのは俺だけでしょうか。
 人の心の美しさも醜さも描かなくてはならない「小説家」という職業のお方が、ちょっと自分に不利益なことを言われたくらいでそのようにマイナス方向にしか(しかも、ご自身として正当な反論はされていない訳ですよね?おそらく)捉えられないということは、いささか一読者として幻滅しました。きっと、自分が書いた先生の著書に関する感想も、「悪口」と捉えられているでしょう。普通に意見・感想を言うことが「悪口」「揶揄」と受け取られるのなら。


 そしてまた、自分が今回一番納得いかないのは、この第2回の結果が発表されるや否や、それまでの発言を全部過去ログから削除されてしまったこと。匿名でモノを言う人間が嫌いだとか悪口を言うなとか仰られる割に、自分がそう書いた発言はさっさと消して知らん顔、ご自身の発言の責任から逃れられる気ですか。まあ、発言削除の件については、ライブドア利用規約改悪の件と関係があるのかもですが、全部消すくらいなら引っ越せばいいのに。というかいくら企画そのものが終了したからって、どこからも参照できないようにそれまでの流れを削除してしまうのは、これまた参加者とかトラックバックされたみなさんに失礼だと思うのですが…

 
 ともかく、司先生の過去ログが参照できないもんで、ここに自分が書いたコトも正しいかどうか、記憶違いしてないか読み違いしてないか確認のすべがないので、全部妄想かもしれません(笑)なので、無視推奨です!まあ、きっと全部俺の妄想なんでしょう!(笑)というか、こんな妄想にプロの作家先生を巻き込むのは不本意なので、以後、司先生の行ういかなる企画にも参加や言及を行わないことをお約束したいと思います。ご迷惑をおかけしてはいけないので!


 それでは、この文章を読まれたすべての方にこんなお目汚しを晒した件をお詫び申し上げて、失礼いたします。
 よいお年を!

*1:どうやら、全部削除されたわけではないようです。ネットでのつきあいが長いある方が見つけてくださいました。ここ→ ttp://blog.livedoor.jp/toki1/archives/2004-10.html これ以上関わり合わないという誓いを守るため、自動リンクしません(笑)まあ、第2回の要項や応募作品のプロット、そして問題の発言等はやはり全て削除されているようなのと、トップページからアクセスできるようにする配慮はされていないので、実質的には全部『削除』されたのと同じとも言えますので、本文は訂正しません。まあ、司氏の「この賞はお遊び・思いつき云々」という発言ははっきり確認できます。自分の妄想じゃないことがわかって良かったー(笑) 

*2:そう仰る割に、当該投稿者が最初に作品を提出してきたときはそこそこ褒めていたようにも思うのですが…賞の主旨通り審査を密室で行わないということであれば、そのときはっきり書けばいいのにと思うのは俺だけ?