山田風太郎御大のいろんな側面が窺える一冊。表題作とか「虚像淫楽」とか、意外と医学的専門知識が鍵だったり、動機の意外性とか心理的トリックを厚かった作品が多いのが、少し意外(忍法帖シリーズとかからの連想で、おどろおどろしいのや怪奇性のある変格ものや、派手な物理トリックをつい期待してしまった)でしたが、お腹いっぱいに楽しめました。
栗本薫さんはもう面白いミステリは書けなくなってしまったのだなあ、と哀しく思いました。
ギャンブルの手に汗握る駆け引きがウリかと思ったら、それだけでなく物語全体にも大きな叙述トリックが仕掛けられていて、本格の魂を感じました。贅沢で面白いつくりでしたねー。
有川さんのデビュー作、今更ながら拝読。切ない未来世界のお話かと思ったら、これにもしっかり自衛隊が出てくるのね(笑)。有川さんのミリタリー好き、自衛隊好きの原点を見ました。正義ぶらない、自然体だけど必死に「生きている」人たちのすがたが、切なくも美しい。傑作ですね。
ここまでで今年の読書は47冊。今月中に50突破できれば、年間百冊も夢ではないかなあ。