「パクリ・盗作」スキャンダル読本

「パクリ・盗作」スキャンダル読本

宝島社 (2006.2)
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この本を手に取ったのは、飛鳥部さんの「誰のための綾織」絶版回収騒動について、詳しく書いてあるかと期待してのことだったのですが、この件についての記事は少なめ。ただし、この事件についてブログでコメントした山口弁護士のインタビューが載っているので、それなりに勉強になりました。自分的には、「エデンの花」絶版騒動も飛鳥部さんの事件も、「やりすぎ」って印象ですが、このインタビューを読んで、よりその思いは強まりました。無論、どっちもあからさますぎで下手だなあ、とは思うわけですが、正確な意味における著作権侵害とはやっぱ違うわけで、それをこんな風にざっくり抹殺しちゃうってのは、山口氏もおっしゃるとおり「表現の自由に関する制約」になって、もっと面白い作品が生み出される可能性をつみ取ってしまい、業界を衰退させる、つまり出版社にとっては自分の首を絞めることになると思うんですが…
こんなことを言うと、「面白ければパクってもいいのか」と言われそうですが…本当に作品の根幹に関わるような部分のあからさまな模倣や、文章内容ほとんど同じみたいなパクリっつーのは、法的にはどうであれ、基本的にその作者が表現者として無能であることをさらけ出すわけですから、結局売れないだろうし社会的制裁は受けるわけじゃないですか。だから、圧力にただ屈する形で(原書房の場合は、専門家にすら相談してないっぽいわけですし)絶版とか臭い物には蓋方式でなく、ちゃんと読者に委ねるようにすべきだと思います。