2ヶ月で22冊。

これはなかなか快調だよ!というか、最近どーしても「読みたい!」と思うような本が目白押しで、それを追いかけているうちに自然に冊数が伸びているというか。
ですが、大半が新刊なので、結局のところ積ん読の解消には至らないという(笑)
それでも、年間100冊の目標には、それなりに近づいているのです。

少年検閲官
少年検閲官
posted with 簡単リンクくん at 2007. 2.25
北山 猛邦著
東京創元社 (2007.1)
通常24時間以内に発送します。
ラノベ風で淡く美しい表紙に騙されて読むと、なかなかにえげつない死体冒涜トリックに不意打ちをくらうスゴイ作品。そういえば、北山作品って人間の死体が大きな意味を持つ作品って多い気がするなあ。ともかく、世界観とセットになった一大トリックで、面白かったです。ただ、欲を言えばこの「検閲」が絶大な力を持つ世界の歴史とか、少年検閲官エノの誕生の背景とか、もうちょっと深く語ってくれたら、より楽しめたのに…とは思います。この後で読んだ「図書館危機」なんかの世界の作り込みようを目にすると、余計にそんな風に想いますですよ。比較しても仕方ないんですが。

図書館危機
図書館危機
posted with 簡単リンクくん at 2007. 2.25
有川 浩著 / 徒花 スクモイラスト
メディアワークス (2007.3)
通常24時間以内に発送します。
うむ、今回も楽しいですな。しかし、郁ちゃんと堂上の関係がいきなり飛躍的に進展(というには、少しもどかしい感じもしますが、まあ「王子様」から比べれば、かなり)したし、やけに展開早いなあ、と思ったら次回で終わりですか!手塚兄弟の確執に決着は付くのか?など、いろいろ気になることは多いので、期待して待ちます。
ただ、元図書館員の視点から一つだけ。
「読み聞かせ」の評価基準は、必ずしも「子供を引きつけること」とは限りません。むしろ、声に抑揚を付けたり演技をしたり、ゲーム性を取り入れたりすることが、子供の「言葉と絵から想像する」という要素をむしろ阻害し、大人の主観や予断を押しつけることにつながるのでやるべきではない、とする説もあります。俺が図書館で勤務していたときに読み聞かせを教えてくれた方々は、そうした主張の人々で、それなりにそういう意見のヒトも多数はのようです。まあ、この作品での描写が「間違い」だとは言いませんが、別の見方もあるということで、参考までに。

クジラの彼
クジラの彼
posted with 簡単リンクくん at 2007. 2.25
有川 浩著
角川書店 (2007.1)
通常24時間以内に発送します。
恋愛と国防と自衛隊が、こんなにも相性が良いとは!と舌を巻かずにはいられない、極上の恋愛小説集。つーても、俺は普段恋愛小説とか読まないので、こんなこと言うのはおこがましのですが、それでも、切なく甘酸っぱく、痛く優しく、心に染みいってくるのは間違いない。しかも、「空の中」や「海の底」の番外編まで入ってるし、もうお腹いっぱい。有川浩ファンにはお得すぎの一冊です。

長らく積んでいた、バークリーのシェリンガムものの最初の一冊。うわー、バークリーのミステリって1作目からこんなにひねくれてたのか、って感じです(笑)。毒チョコで一気に花開く「推理の破壊と再構築の繰り返し、『唯一無二の名探偵』の否定」という視点が、この時点で既にふんだんに盛り込まれてる。トリックや謎としては小粒な感じでしたが、バークリーの原点を探るという意味では、趣深い作品でした。
オイレンシュピーゲル 1
冲方 丁〔著〕
角川書店 (2007.2)
通常24時間以内に発送します。
全くもう、どこまで離れ業をやらかしてくれるのかしらん、と呆れ果てるほどの天才力業、ウブカタ氏のシュピーゲル同時進行2シリーズを鑑賞。同じ世界観で、ほぼ同様の展開(武器内蔵少女対犯罪者やテロリスト、という図式)にも関わらず、しっかり持ち味が違うところがやはり天才。というか、スプライトはより青少年向きで明るく前向きで(でも脳天気ではない。それなりに重い)、オイレンはより暗黒鬼畜度増してノワール風味で、「マルドゥック〜」寄り。ノワール度の順列でいくなら、マルドゥック>オイレン>スプライト、って感じ(というかスプライトはノワールじゃないな(^^:。
総合的に観て一番深いのは、やっぱりライフルへの愛と父からの歪んだ愛を「克服あれ」で乗り切ってきた陽炎さんが一番だと思います。きれい事じゃなく、全ての罪穢れを弾丸で撃ち滅ぼさんとするかのような覚悟が、かっこよすぎ。

黄金の灰
黄金の灰
posted with 簡単リンクくん at 2007. 2.25
柳 広司著
東京創元社 (2006.11)
通常2-3日以内に発送します。
柳氏のデビュー作とのことですが、まるで拙さや青臭さがない、熟練のワザ。歴史上の人物を取り扱うのみならず、その歴史的事実を逆手に取るかのような、世界史が揺らぎかねない謎の大きさにメロメロ。どこまでが史実で、どこからが創作か、世界史に詳しくない俺にはなんとも言えないのですが、ともかく面白かったです。