「月の裏側」恩田陸)(bk1)

月の裏側 (幻冬舎文庫)
「人間モドキ」「盗まれた街」という、過去に多く使われているが故におそらくホラーやSF作家が一度は挑んでみたくなるであろうテーマの作品。愛嬌のある登場人物達のペダンティックだったり繊細だったりする会話の合間に、徐々に進んでいく怪異、という展開は、結構ドキドキするのだけど、ラストであまり明確に謎が明かされてない感じがするので、どうかすると欲求不満気味の俺です。
 が、まあ、謎や怪異に敢えて解決をつけず、可能性だけ示して終わる、という形をよく使われる(そう言い切れるほど多く恩田作品を読んだわけではないけれど。「MAZE」とかはそうだったような気がする)恩田さんなので、これはこれでいいのかも。