「死神と二剣士(ファファード&グレイ・マウザー 2)」フリッツ・ライバー 浅倉 久志訳(bk1)

死神と二剣士 <ファファード&グレイ・マウザー2> (創元推理文庫)
 2冊目を読んで、やっとこのシリーズの面白さがわかってきた感じ。結構度肝を抜かれるような仕掛けの短編がいくつも。個人的には、最後に判明する怪物の正体に目を奪われる「森の中の宝石」、展開が戦慄的で手に汗握る「夜の鉤爪」「痛みどめの代価」が面白かったです。あと、個性的な敵組織のアイデアが面白い「珍異の市」も。
 どの短編も結構緻密に描いたら長編並みの物語ソースが詰まっているので、なんか贅沢な短編集だなあ、と感動。ただ、そんな感じで中身が圧縮されているので、少し油断すると物語が1行の間に凄まじく進んでいたりするのでちょっと疲れるときもあります(笑)。
 あと、可笑しく感じて趣深かったのは、基本的にファファードもマウザーも悪党なので、巻き込まれる事件のうち自業自得で非道い目に遭っているケース結構多し(笑)。なんか、このシリーズの人気の秘密って、正統派のヒロイック・ファンタジーじゃなくこんな風にピカレスクノワールの風味とダークな魔術の設定の旨い融和にあるのかな、と思ったりもしました。